昼下がり、コーヒーを飲みながら1曲いかがでしょうか?
※このコーナーではシチュエーションに合った1曲を紹介させていただきます。
Yes or No(イエス・オア・ノー) / ウェイン・ショーター
1964年レコーディング、1965年リリース、『JuJu』に収録
ウェイン・ショーター(ts)
マッコイ・タイナー(p)
レジー・ワークマン(b)
エルヴィン・ジョーンズ(ds)
昼下がりにコーヒーを飲みながら音楽を聴いてまったりしようぜって企画でござい。今回はウェイン・ショーターが1965年にリリースしたアルバム『JuJu』に収録されている『Yes or No』を聴いてみました。
いきなり出だしからかっこよくない?都会的なスマートさを感じてめっちゃかっこいい。そして、緊張とリラックスが絶妙に交錯するムードで、そういう意味では、『Yes or No』の二元論を体現しているとも言えなくもない。ただ、コード進行には意図的な曖昧さがあり、演奏者に解釈の自由を与える設計となっているのも面白い。
レコーディング・メンバーは、ジョン・コルトレーン・カルテットのレギュラーであるマッコイ・タイナーとエルヴィン・ジョーンズ、レギュラー・カルテットとなる前に在籍していたレジー・ワークマン。という感じで、コルトレーンに影響を受けたリズム・セクションとなっています。
ワン・ホーン編成にこのメンバーということで、コルトレーンと比較されがちなアルバムですが、ショーターは臆することなく、自身の個性を見せつけるような演奏を繰り広げています。この曲でも、速いテンポのスウィングに乗せて、荒々しさと推進力を備えたフレーズを、独特の音色で途切れることなく紡ぎ出しており、ショーターならではの存在感を強く印象づけています。
ショーターは、この直前まで、アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズでテナー・サックス兼音楽監督をやっていたんです。そして、マイルス・デイヴィスのクインテットに加入する時期にこのアルバムは録音されました。
つまり、ショーターがジャズ・メッセンジャーズというハード・バップのど真ん中から離れ、自身の音楽的なアイデンティティを模索し、マイルスという新しい領域へ飛び込む直前に生まれた作品なんです。
『Yes or No』は、ブランフォード・マルサリスのカヴァーをはじめ、ジャズ・スタンダードとして取り上げられる1曲になっています。また、ショーターが81歳だった2015年には、ウィントン・マルサリス率いるジャズ・アット・リンカーン・センター・オーケストラとの共演でショーター自身がソロを披露して再演していたのが印象的です。
(P.N. ズワイガニ)
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