夜、コーヒーを飲みながら1曲いかがでしょうか?
※このコーナーではシチュエーションに合った1曲を紹介させていただきます。
I Fall in Love Too Easily(アイ・フォール・イン・ラヴ・トゥー・イージリー) / チェット・ベイカー
1954年,1956年レコーディング、1956年リリース、『Chet Baker Sings』に収録
チェット・ベイカー(vo,tp)
ラス・フリーマン(p)
ジェイムズ・ボンド(b)
ローレンス・マラブル(ds)
1950年前半、アメリカ西海岸で勃興したウエストコースト・ジャズ。マイルスが『クールの誕生』で示したクール・ジャズを発展させたスタイルが主流である。その『クールの誕生』に参加していたバリトン・サックス奏者、ジェリー・マリガンが率いるピアノレス・カルテットのメンバーだったのがチェット・ベイカーだ。
彼は端正な顔つき、いわゆるイケメンである。そんな彼が歌うとなれば人気が出るのも頷ける。が、この時はまだヴォーカルはしておらず、トランペッターとしての実力を評価されている。ジェリー・マリガンのカルテットに在籍している頃に、のちの彼の代名詞となる『マイ・ファニー・バレンタイン』を吹き込んでいたりする。もちろんここではインストゥルメンタルで、である。
そして、ジェリー・マリガンのバンドを離れて吹き込んだのが『チェット・ベイカー・シングス』だ。彼は、このアルバムでプロデューサーから歌唱指導を受けて初めてヴォーカルとして自身の歌声を吹き込んでいる。中性的でメロウな歌声だがどこか物憂げな感じがチェット・ベイカーの特徴だ。そして、このアルバムには先述した彼の代名詞となる曲、歌ものとしての『マイ・ファニー・バレンタイン』が収録されている。今回紹介するのは同アルバムに収録されている『I Fall in Love Too Easily』だ。シックス・センスの冒頭で流れているのも同曲だったりする。ムーディな夜にピッタリだろう。
この曲のタイトルを和訳すると『あまりにも簡単に恋に落ちてしまう』となる。歌詞もその通りの歌詞となっている。『今までつらい目に遭ってきたのに、こんなにも早く恋に落ちてしまうなんて・・・』というようなニュアンスの歌詞である。これをチェット・ベイカーが甘く切なく歌う。トランペットのソロもしっかりと聴かせてくれる。そんな演奏なのだから人気が出るのも頷ける。
(P.N. ズワイガニ)
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