どうも、ズワイガニです。
今回は、ハード・バップとは一線を画した、ハービー・ハンコックの金字塔『処女航海』を紹介します!
若き日のハービーが新しいジャズに踏み出した瞬間を刻んだ、まさに記念碑的アルバムです。
Maiden Voyage(処女航海) / ハービー・ハンコック (1965)
1965年に録音されたハービー・ハンコックのリーダー作で、彼のキャリアを語る上で外せない代表作のひとつです。
レコーディング・メンバーはこちら。
- ハービー・ハンコック(p)
- フレディ・ハバード(tp)
- ジョージ・コールマン(ts)
- ロン・カーター(b)
- トニー・ウィリアムス(ds)
メンバー構成を見るとお察しのとおり、当時のマイルス・デイヴィス・クインテットの心臓部がそのまま集結しています。
特に、ロン・カーターとトニー・ウィリアムスという最強リズム隊が生み出す推進力は圧巻で、ハービーの作り出すハーモニーと絶妙に絡み合います。
ジョージ・コールマンは1964年にマイルス・バンドを離れていますが、彼の端正で力強いテナーは作品の静かな重力を支える重要な存在です。
そこに、よりブレイジング(燃えるような)で華やかなフレディ・ハバードが加わることで、サウンドはさらにダイナミックな広がりを持っています。
タイトル曲『Maiden Voyage』や『Dolphin Dance』などは、今ではスタンダードとして親しまれていますが、この時点では新しい響きを提示する挑戦的な試みでした。
『処女航海』は新主流派ジャズ
『処女航海』は新主流派ジャズと呼ばれるムーブメントの中心にある作品です。
ジャズ・クラブのような閉鎖的な場で演奏されるハード・バップとは違い、空間的な広がりのあるサウンドを感じられ、当時斬新で新鮮だったといいます。
マイルス・バンドで経験した緊張感あふれるインタープレイからさらに一歩踏み出し、より開放的で、風景の浮かぶような音楽が展開されます。
録音前年の1964年、マイルスは『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』と『フォア&モア』を発表し、ハード・バップのピークとも言える名演を残しました。
その直後にジョージ・コールマンが脱退し、ウェイン・ショーターが加入することでバンドはより先鋭的な方向へ。その激動の中で、ハービー自身も自分の音楽的航海へと漕ぎ出します。
『処女航海』は海をテーマにしたコンセプト・アルバムで、曲ごとに「大海原」「波の揺れ」「海の静けさ」などが音で描かれています。
ハービーの作曲家としての才能がこれほど明確に示された作品は多くなく、『Dolphin Dance』の美しいコード進行は今でもジャズ理論の教材として語り継がれるほどです。
当時のリスナーにとっては、ジャズはここまで変わるのか?と驚くほど新鮮で、現代から聴いても色あせないモダンな響きを持つ名盤です。
ぜひ、海風が吹き抜けるようなこのアルバムを、心地よい緊張感とともに味わってみてください。
おわりに
『処女航海』は、ハービー・ハンコックが若くして次の時代のジャズを提示した象徴的な一枚です。
ハード・バップの熱さから一歩離れ、海をモチーフにした広がりある音世界を描いたことで、ジャズは新たな局面へと舵を切りました。
今ではスタンダードとして親しまれる楽曲も多数収録されており、ジャズ入門にも最適です!
まだ聴いたことがない人は、この機会にぜひ聴いてみてくださいね!


