昼下がり、コーヒーを飲みながら1曲いかがでしょうか?
※このコーナーではシチュエーションに合った1曲を紹介させていただきます。
St. Thomas(セント・トーマス) / ソニー・ロリンズ
1956年レコーディング、同年リリース、『Saxophone Colossus』に収録
ソニー・ロリンズ(ts)
トミー・フラナガン(p)
ダグ・ワトキンス(b)
マックス・ローチ(ds)
ソニー・ロリンズはハード・バップの時代に活躍した代表的なテナー・サックス奏者です。この時代の2大テナーはソニー・ロリンズとジョン・コルトレーンと言われていたぐらい代表的なミュージシャンです。このアルバムと同年に2人は『テナー・マッドネス』という曲で共演しているんです。その時は評判も実力もロリンズの方が勝ってるよねって感じだったんですけど、その後、コルトレーンが音楽的に新たな境地を切り拓いていくのを見て、ロリンズはショックを受けて休業しちゃうんです。休業中、ひたすら橋の上で練習して練習して、ようやくカムバックして出したアルバムのタイトルが『The Bridge(橋)』です。なかなかの直球勝負ですね。
『サキソフォン・コロッサス』は、名盤TOP100なる企画本があれば、必ず上位に入っているであろうアルバムです。その1曲目に入っているのが、『セント・トーマス』です。曲のタイトルは、ロリンズの母親の故郷であるカリブ海のセント・トーマス島に由来しています。この曲は、カリプソのリズムを取り入れた軽快で明るいメロディが特徴で、ロリンズのトレードマークともいえる独特なサウンドを感じさせてくれます。
というわけで、この曲の背景には、ロリンズの個人的なルーツと音楽的探求が深く関わっています。ロリンズは、ニューヨーク・ハーレムで生まれ育ちましたが、彼の音楽のルーツには母親が口ずさんでいたカリブ海の影響がありました。ロリンズが自身の文化的アイデンティティを音楽で表現した楽曲と言えますね。
(P.N. ズワイガニ)
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