マイルス・デイヴィスのプレスティッジ期の決定盤『Cookin’ with the Miles Davis Quintet』を聴く。【4コマ漫画付き記事】

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【4コマ漫画】喫茶店マスターのつぶやき15

『Cookin’ with the Miles Davis Quintet』の解説

『Cookin’ with the Miles Davis Quintet』は、マイルス・デイヴィスが1957年に発表したアルバムです。

本作は、プレスティッジ・レコードとの契約最終段階に行われた1956年の一連のセッションから生まれた作品で、いわゆる「プレスティッジ4部作」の第1作として知られています。

録音は1956年10月26日に行われましたが、アルバムとしてのリリースは翌1957年です。マイルスはこの直後にコロムビア・レコードへ移籍しており、本作はハード・バップ期のマイルスを記録した重要な節目の作品と言えます。

参加メンバーは、マイルス・デイヴィス(トランペット)、ジョン・コルトレーン(テナー・サックス)、レッド・ガーランド(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラム)

このクインテットは後に伝説的編成として語られますが、本作ではまだ発展途上の緊張感と、生演奏ならではの即興性が色濃く残されています。

冒頭の『My Funny Valentine』では、マイルスのミュート・トランペットが抑制された音色で旋律を紡ぎ、強い感情を内包したバラード表現を聴かせます。歌心を最優先するマイルスの美学が、間の取り方や音の選択に明確に表れています。

一方、『Blues by Five』ではブルースを基調とした演奏が展開され、フィリー・ジョー・ジョーンズの躍動感あるドラムが演奏全体を力強く推進します。レッド・ガーランドのピアノは、シンプルながらスウィング感に富み、クインテットの土台を安定させています。

若き日のジョン・コルトレーンの演奏も、本作の大きな聴きどころです。後年の「シーツ・オブ・サウンド」に至る以前の段階ではありますが、フレーズを積み重ねていくようなソロからは、すでに強い探究心と将来性が感じられます。

マイルスのクールで間を重視した演奏との対比が、アルバム全体に独特の緊張感を生み出しています。

『クッキン』というタイトルが示す通り、本作には作り込みすぎない、スタジオでの一発勝負に近いジャズの魅力が詰まっています。

完成度よりも、その場で生まれる音を重視するマイルスの姿勢が鮮明に刻まれた一枚であり、ハード・バップ期の名盤として、現在も高く評価され続けています。

4コマ作者

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商業誌での受賞経験あり。
約1年間Web連載の漫画原作(ネーム担当)経験あり。
2019年よりフリーで活動中。
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