どうも、ズワイガニです。
音と音をなめらかに繋ぐ奏法としてグリッサンドとポルタメントという奏法があります。
グリッサンド奏法とポルタメント奏法は、どちらも2つの音をつなげて演奏するのは同じですが、速度が大きく異なります。
ポルタメントは音と音を抑揚のついた速度でつなげて移行させます。楽譜上でポルタメントを指定するときは、単に「port.」と記述したり、下図のようにスラーで2音をつなげた上で「port.」と指定したりします。
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では、グリッサンドは?というのが今回のテーマでございます。よろしくどうぞです。
グリッサンドとは?
グリッサンド(Glissando)は、音と音を一定の速度で滑らかに移動しながら演奏する技法です。イタリア語の「glissare(滑る)」が語源となっていて、日本語では「滑奏(かっそう)」とも呼ばれます。楽譜上でグリッサンドを指定するときは、「gliss.」と記述されています。
楽器によって演奏方法は異なりますが、共通するのは「途中の音を細かくつなげながら一定の速度で移動する」という点です。
普通の音階のように1音ずつ区切って演奏するのではなく、音が連続的に変化することで、なめらかで独特な響きを生み出すことが特徴です。
楽器ごとのグリッサンドの特徴
楽器ごとにグリッサンドの奏法は異なります。
ピアノのグリッサンド
ピアノでは、指を鍵盤の上で滑らせることでグリッサンドを演奏します。「ピュロロロロロr」ってやつですね。(伝わりますか?笑)
白鍵だけ、または黒鍵だけを使ったものが一般的ですが、両方を組み合わせる場合もあります。
リストの『ラ・カンパネラ』は、ピアノの鍵盤を滑らせるように演奏するグリッサンドが特徴的で、華やかでダイナミックな響きを生み出します。
弦楽器のグリッサンド
ヴァイオリンやギターでは、指を弦の上で滑らせながら音をつなげていきます。エレキ・ギターで「ギュイイイイイン」ってするやつですね。(これは伝わりそう!笑)
特にジャズやブルースでは、ギターのスライド奏法と組み合わせて使われることが多いです。
オールマン・ブラザーズ・バンドの『Statesboro Blues』は、スライド・ギターのグリッサンドが特徴的で、ブルージーな味わいを作り出しています。
トロンボーンのグリッサンド
トロンボーンはスライド機構を持っているため、もっとも自然にグリッサンドを演奏できる楽器の一つです。スライドをなめらかに動かすことで、音の高さを途切れることなくシームレスに変化させられます。ジャズや映画音楽でよく使われ、表情豊かな効果を生み出します。
グレン・ミラーの『ムーンライト・セレナーデ』は、トロンボーンのなめらかな音のつながりが、ムーディーな雰囲気を作っています。
シンセサイザーのグリッサンド
電子楽器では、ピッチ・ベンドやポルタメントの機能を使うことで、グリッサンドのような効果を作り出せます。シンセサイザーでは、この効果を利用して宇宙的なサウンドや、フュージョン系の滑らかなメロディ・ラインを演奏することが可能です。
ヴァンゲリスの『Chariots of Fire』は、シンセサイザーによるグリッサンドで、壮大な雰囲気が作り出されています。
おわりに
グリッサンドは、単なる音の移動ではなく、音楽に表情や躍動感を加える技法です。
例えば、ジャズのトロンボーン・ソロでは、グリッサンドを駆使することで、まるで人間が歌っているような表現が可能になります。ピアノでは、曲のクライマックスでグリッサンドを入れることで、華やかさを一気に増すことができたりします。
このように、グリッサンドは楽曲に独自の味わいを加え、よりドラマティックな演奏を実現するための技法なのであります!
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