インパルス・レコードを知ろう!コルトレーンを聴き始めたら必ず出会うレーベル

JAZZあれこれ

どうも、ズワイガニです。

ジャズを聴き進めていくと、×オレンジのジャケットのアルバムを目にすることがあります。

かっこいいな〜!と思って調べたら、インパルス・レコード(Impulse! Records)というレーベルからリリースされたアルバムだったんです。

レーベルの名前を見た瞬間思いましたよ。

びっくりマーク付いてる!!!って。

でも、それもなんか良いですよね。ちなみに、びっくりマークって正しくはエクスクラメーション・マークって言うらしいです。すみません、どうでも良いよね。

このインパルス・レコード、ジョン・コルトレーンの作品を聴き始めると必ず辿り着くレーベルなんです。

なので、ジャズに興味を持って、コルトレーンを聴き始めた人はみんな一番最初に思ったはずなんです。

Impulse! Records・・・び、びっくりマーク付いてる!って。

誰もが通るこのツッコミ。(本当か?笑)

そんなインパルス・レコードのこと、もっと知りたくないですか?

ということで今回は、インパルス・レコードについて、ジャズをはじめたばかりの人にもわかりやすく紹介していきます!

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インパルス・レコードとはどんなレーベル?

インパルス・レコードは、1960年にアメリカの大手レーベル、ABCパラマウントのジャズ部門としてニューヨークでスタートしたレーベルです。

レーベル名の表記が「Impulse!」とびっくりマーク付きになっているのが特徴で、これは当時としてはかなり珍しいネーミングでした。

この「!」には明確な公式説明は残されていませんが、ブランドを強調するためのデザイン的な意図があったと考えられています。

インパルスを立ち上げたプロデューサーのクリード・テイラーは、ジャケットやロゴなどのデザインに強いこだわりを持っていた人物で、×オレンジの統一デザインや二つ折りジャケットなど、後のインパルスらしさの多くを作り上げました。

びっくりマークもその一環で、既存のジャズ・レーベルとの差別化を狙った要素だったと言われています。

その後、テイラーの後任としてボブ・シールが多くの作品を手がけ、インパルスはさらに録音のクオリティや作品の幅を広げていきます。

モダン・ジャズ、ビッグ・バンド、ヴォーカル作品など幅広い録音を行い、新しいジャズを発信するレーベルとして定着していきました。

そしてインパルスの中心的存在となったのが、ジョン・コルトレーンです。

1960年代前半以降のコルトレーンのリーダー作『A Love Supreme (1965)』 をはじめとする代表作の多くがインパルスからリリースされ、レーベルとコルトレーンの名前は深く結びつくことになります。

つまり、インパルス・レコードは、高品質な音作りと独自のブランド性を備えつつ、1960年代ジャズの重要な変化を数多く残したレーベルなんです。

プロデューサー、ボブ・シールについて

インパルス・レコードの制作面を支えた中心人物が、プロデューサーのボブ・シールです。

彼がインパルスに関わるようになったのは、初代プロデューサーであるクリード・テイラーがヴァーヴ・レコードへ移籍したことがきっかけでした。

テイラーはインパルスの立ち上げ期を担当していましたが、ヴァーヴからヘッドハンティングを受けて移籍することになり、その後任としてボブ・シールが着任します。

これ以降、インパルスの制作の中心はボブ・シールへと移り、レーベルの方向性は彼の判断によって進められていきました。

ボブ・シールは、ジャズだけでなくフォークやポップスなど幅広いジャンルを扱った経験を持つプロデューサーで、制作現場ではアーティストの表現を尊重するスタンスで知られています。

録音中に細かい指示を出すのではなく、ミュージシャンがアイデアを自由に試せる環境作りを重視していたと言われています。

この姿勢は、ジョン・コルトレーンとの関係で特に重要な意味をもちました。コルトレーンがインパルス期の代表作を自由に制作できたのは、ボブ・シールがレーベル側の制約を抑え、コルトレーンの音楽的探求を全面的に支えた影響が大きいとされています。

また、シールには作曲家としての一面もあり、ペンネーム ジョージ・ダグラスを使用していたことでも知られていて、この名義でルイ・アームストロングの代表曲『この素晴らしき世界(What a Wonderful World)』の作詞作曲に関わっています。

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録音面でも、ボブ・シールは音の明瞭さや楽器の輪郭がはっきり伝わる高品質なサウンドを推進し、エンジニアと密に協力して、当時としては高水準の録音を多く残しました。

黒とオレンジの統一デザインや二つ折りジャケットといったインパルスのパッケージ要素はテイラーの時代に導入されましたが、ボブ・シールはこれを継続し、インパルス全体のブランドとして定着させています。

こうした背景から、ボブ・シールはインパルス・レコードを録音クオリティが高く、アーティストの自由な制作を支えるレーベルとして確立した中心人物として評価されています。

インパルスが与えた影響

インパルス・レコードは、1960年代のジャズにいくつかの重要な影響を残したレーベルとして評価されています。

コルトレーン後期の活動を一貫して記録したレーベルとしての役割

インパルス最大の功績は、ジョン・コルトレーンの1960年代の重要作をほぼすべて記録したことです。

スタジオ作品からライブ録音まで幅広い作品を継続的に制作し、このおかげで、コルトレーンが音楽的に大きく変化していく過程を体系的に聴くことができ、彼の後期スタイルがその後のジャズに与えた影響も明確に追えるようになりました。

録音技術とパッケージへのこだわりがレーベル文化として定着

インパルスは録音品質に対する意識が高く、サックスやドラムの輪郭が明瞭に伝わるクリアなサウンドを特徴としています。

また、黒とオレンジを基調にしたデザインや二つ折りジャケットなど、統一感のあるパッケージングも当時としては珍しいものでした。

これらは「ジャズ・レーベルがブランドとしてどう見られるか」という点に影響を与え、後年のECMなど、録音とデザインの両面にこだわるレーベル文化にもつながったと指摘されています。

アーティスト主導の制作環境を支えるモデルになった

インパルスはプロデューサーのボブ・シールを中心に、アーティストが自分のアイデアを自由に試せる制作環境を整えていました。

特にコルトレーンのように音楽的方向性が大きく変化するミュージシャンに対して、レーベル側が介入を最小限にし、録音を継続的にサポートした例は当時としては異例でした。

このアーティスト主導の制作姿勢は、後のジャズ・レーベルや独立系レーベルにおけるミュージシャンの自由度を重視する流れにつながっています。

インパルスを語る上で欠かせないミュージシャン

インパルス・レコードには多くのミュージシャンが在籍していましたが、その中でもレーベルの方向性や評価に直接影響を与えたアーティストがいます。

ここでは特に重要度の高い4名を紹介します!

ジョン・コルトレーン

インパルスを代表する存在で、レーベルの評価を決定づけた最重要アーティストです。

1960年代前半にレーベルへ移籍して以降、スタジオ録音・ライブ録音を含む多くの作品を継続的に残しました。

コルトレーンが音楽的に大きく変化していく時期の記録が集中的に残されており、インパルス=コルトレーン期の資料として非常に重要な位置づけになっています。

ファラオ・サンダース

コルトレーンのグループに参加し、のちに自身のリーダー作も発表したサックス奏者です。

民族的要素を含む演奏スタイルや長尺の構成など、いわゆるスピリチュアル・ジャズと呼ばれる流れに関わる重要な活動をインパルス期に行いました。

インパルスのサウンド的な特徴の一部にも影響を与えた人物です。

アーチー・シェップ

社会的・文化的テーマを積極的に扱ったサックス奏者で、1960年代の録音を中心に多数の作品を残しています。

政治的メッセージを含む内容や、アンサンブル構成の多様さなど、インパルスが幅広い音楽性を扱うレーベルであったことを示す代表的なアーティストです。

マッコイ・タイナー

コルトレーン・カルテットのピアニストとして知られ、インパルスから自身のリーダー作も複数発表しています。

特徴的な力強いピアノのスタイルと厚みのある和音の構成は、インパルス録音の音作りとも相性が良く、レーベルの音像に一定の影響を与えたとされています。

初心者におすすめのインパルス名盤5選

インパルス・レコードは「黒×オレンジで強そう…」という見た目の割に、初心者でも入りやすいアルバムがしっかり揃っています。

ここではその中から、最初の一歩にちょうどいい5枚を紹介します!

A Love Supreme / ジョン・コルトレーン (1965)

インパルス・レコードどころか、ジャズ全体を代表する一枚として名前が挙がるアルバムです。

コルトレーンの後期を語るうえで避けて通れない作品で、インパルスのカタログの中でも中心的な位置にあります。

スピリチュアルなテーマを持った組曲ですが、全体の構成は意外と分かりやすくまとまっていて、メロディも覚えやすいフレーズが多いです。

ジャズのアドリブにまだ慣れていない人でも、流れを追いながら聴きやすい作品だと思います。

インパルスがどんなレーベルなのか、コルトレーンがインパルス期に何をやろうとしていたのかを知る入門編として、まず最初におすすめしたい一枚です。

John Coltrane and Johnny Hartman / ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン (1963)

こちらはサックスとヴォーカルの共演作で、インパルス作品の中でもかなり聴きやすい部類に入るアルバムです。

ジョニー・ハートマンの深みのある声と、コルトレーンの丁寧なフレージングが自然になじんでいて、全体の雰囲気もとても落ち着いています。

テンポの速いナンバーや難解なアドリブが前面に出てくるタイプではなく、ゆったりとしたバラード中心の構成なので、BGM的に流しても心地よく聴けます。

ジャズ・ヴォーカルに興味がある人や、いきなり濃い作品から入るのは不安という人にぴったりです。インパルスというと難しいイメージを持たれがちですが、このアルバムはその固定観念をいい意味で崩してくれる一枚だと思います。

Karma / ファラオ・サンダース (1969)

いわゆるスピリチュアル・ジャズの代表作として語られることが多いアルバムです。

長尺の演奏と浮遊感のあるサウンドが特徴で、一般的な4ビートのジャズとは少し違う聴き心地を楽しめます。

構成としては、同じモチーフがじわじわと変化していくタイプなので、細かいフレーズを追うというよりは、全体の雰囲気に浸るような聴き方が合います。

リラックスしているときや、少し集中したいときのバックグラウンドとして流してみると、この作品の良さが分かりやすいかもしれません。

ジャズの世界に少し慣れてきて、「もう一歩先の音も聴いてみたい」と思ったタイミングで手に取ってほしいインパルス作品です。

Out of the Cool / ギル・エヴァンス (1961)

編曲家・ピアニストのギル・エヴァンスが手がけたオーケストラ作品で、大人数編成ならではの厚みのあるサウンドが楽しめるアルバムです。

トランペットやトロンボーン、サックスなどが重なり合いながら進んでいくアレンジが特徴で、一枚でかなり豊かな音の広がりを味わえます。構成がしっかり設計された作品なので、クラシックや映画音楽が好きな人にも入りやすい内容です。

また、インパルスの録音の良さもよく分かるアルバムで、各パートの位置関係がはっきり感じられるのもポイントです。

コンボ編成のジャズだけでなく、アレンジに力を入れた作品にも触れてみたいという人に、最初の一枚としておすすめできます。

Fire Music / アーチー・シェップ (1965)

アーチー・シェップの代表作のひとつで、インパルスにおける彼のスタイルを知るのに適したアルバムです。

サウンド自体はエネルギッシュで、通常のハード・バップより一歩踏み込んだ印象がありますが、構成やテーマは比較的つかみやすい方に入ります。

社会的なテーマやメッセージ性を含んだ作品が多いシェップの中では、音楽的な入口としてちょうどよいバランスになっていて、インパルスが扱っていた作品の幅広さを感じることもできます。

「コルトレーン以外のインパルス作品も聴いてみたい」「もう少し刺激のあるジャズに触れてみたい」というタイミングに選びやすい一枚です。

おわりに

インパルス・レコードって、最初は×オレンジの見た目が強くて「クセつよ!」って思うかもしれませんが、実際に聴いてみると入り口は思ったよりずっと広いんです。

もし×オレンジのジャケットのインパルス!作品を見つけたら、「これのことか〜!」って思ってください(笑)

今回紹介した5枚は、どれも最初の一歩として手に取りやすい作品ばかりです!もちろんそれ以外でもインパルス・レコードの作品をぜひ聴いてみてくださいね!

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