どうも、ズワイガニです。
早速ですが、今回はジャズ・ヴォーカルの代名詞ともいえるスキャットについて紹介します。
「シュビドゥワ」「ダバディダ」など、意味のない言葉で歌うあの技法です。
スキャットとは?
スキャットとは、歌詞の代わりに意味のない音や言葉を使って、即興的にメロディを歌う技法です。
「シュビドゥワ」「ダバディダ」といったフレーズを用いて、まるで声を楽器のように使う表現方法で、歌詞の制約がない分、リズムやフレーズの自由度が高く、ジャズ特有の即興性を最大限に引き出せるのが特徴です。
スキャットの起源
スキャットを初めてレコードに収めたのは、トランペット奏者兼シンガーの ルイ・アームストロング。
1926年の『Heebie Jeebies』の録音中に、なんと彼は歌詞を忘れてしまったそうです。そこで即興的にナンセンスな音を口ずさんだところ、それが意外にも音楽的に心地よく、スタッフのウケも良かったため、そのまま採用されたといわれています。
偶然から生まれた技法が、やがてジャズ・ヴォーカルの定番スタイルになったのは面白いエピソードですね。
スキャットを得意とした名歌手たち
スキャットはルイ・アームストロングだけでなく、数々の名歌手が取り入れ、表現の幅を広げてきました。
エラ・フィッツジェラルド
ジャズ・ヴォーカルの女王と称される彼女は、その声をまるでサックスやトランペットのように操り、巧みなスキャットで聴衆を魅了しました。
One Note Samba:『Fitzgerald and Pass… Again』(1976)に収録されたジョー・パスとのデュオ・アルバム。緊張感あるデュオ演奏の中で、即興性豊かなスキャットが光ります。
サラ・ヴォーン
クラシカルな響きとジャズ即興を融合させた歌声で、深みのあるスキャットが印象的です。
Shulie A Bop:1954年にリリースされた10インチLP『Images』のA2曲として収録。後の1957年作『Swingin’ Easy』にも収録されており、リズミカルで自由奔放なスキャットが楽しめます。
メル・トーメ
「The Velvet Fog」の愛称で知られる滑らかな歌声で、クールかつ洒脱なスキャットを得意としました。
Lullaby of Birdland:ジョージ・シアリングとの共演(1982年の『The Best Of The Concord Years』などに収録)。シアリングとの対話の中で、まるで楽器のように歌声が飛び交い、即興的なスキャットの妙を味わえます。
スキャットの魅力と聴きどころ
スキャットの魅力は、なんといっても即興性と表現の幅広さです。
- サックスのソロのように歌う
- ドラムのリズムを声で表現する
- コール&レスポンスで観客と一体になる
歌詞の縛りがないからこそ、演奏者の個性がダイレクトに出やすいのです。同じ曲でも歌手によって全く違う世界観になるのが面白いところです。
おわりに
スキャットは、声を楽器のように使う表現技法です。ルイ・アームストロングの偶然から生まれたといわれるこの歌唱法は、今ではジャズ・ヴォーカルを語るうえで欠かせない存在となりました。
即興で歌っていたら、それはスキャット。ぜひ覚えてくださいね!