ここはとある町の喫茶店。
レコードを聴きながら今日もマスターはつぶやく。
【4コマ漫画】喫茶店マスターのつぶやき19

リー・モーガンの『Search for the New Land』の解説
ジャズを聴き始めたばかりの方でも、リー・モーガンの大ヒット曲『The Sidewinder』を耳にしたことがある人は多いんじゃないでしょうか?あの思わず体が動いてしまうような、超キャッチーでファンキーな名曲ですよね。
でも、今回ご紹介する『Search for the New Land』は、そのイメージとはちょっと、いや、かなり違う一面を見せてくれる1枚なんです。
実はこのアルバム、録音されたのは1964年2月。なんとあの『The Sidewinder』をレコーディングしたわずか2ヶ月後のことでした。
しかし、前作があまりにも爆発的にヒットしてしまったため、ブルーノート・レーベル側は「次も同じようなノリの曲でいこう!」と判断し、このアルバムはなんと2年間もお蔵入りになってしまったんです。そして1966年になって、ようやく世に放たれました。
なぜお蔵入りになったのか・・・?それは、この作品が商業的なヒットを狙ったものではなく、リー・モーガンというアーティストの魂の探求とも言える、非常にディープで内省的なアルバムだったからです。
参加しているメンバーを見てください。トランペットのリー・モーガンに加えて、テナー・サックスにウェイン・ショーター、ピアノにハービー・ハンコック、ギターにグラント・グリーン、ベースにレジー・ワークマン、ドラムスにビリー・ヒギンズという、当時の「ブルーノート」が誇る若手オールスターズなんです!これだけの天才たちが集まって、ただのジャズ・ロックを演るわけがありません。
全曲がリー・モーガンのオリジナル作曲で構成されており、モード・ジャズやスピリチュアルな要素を取り入れた、まさに「新しい大地(New Land)」を探し求めるような野心作になっています。
特に15分を超えるタイトル曲『Search for the New Land』は、どこかメランコリックで、浮遊感のある美しいメロディが印象的です。ハービー・ハンコックの神秘的なピアノや、グラント・グリーンの哀愁漂うギター、そしてウェイン・ショーターの知的なテナー・サックスが絡み合い、まるで深い霧の中をゆっくりと歩いていくような情景が目に浮かびます。
そして、このアルバムを語る上で欠かせないのが、2017年に日本でも公開されたドキュメンタリー映画『私が殺したリー・モーガン』です。
33歳という若さで、内縁の妻に射殺されてしまった彼の壮絶な生涯に迫ったこの映画で、テーマ曲として使われていたのがまさにこの『Search for the New Land』でした。
映画の中で描かれる彼の光と影、そして悲劇的な結末を知ってからこの曲を聴くと、彼のトランペットの響きがさらにエモーショナルに胸に迫ってきます。
彼が本当に探し求めていた「新しい大地」とは何だったのか・・・?そんなことに思いを馳せながら、ぜひ部屋を少し暗くして、じっくりとこの名盤の世界に浸ってみてください。
4コマ作者
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商業誌での受賞経験あり。
約1年間Web連載の漫画原作(ネーム担当)経験あり。
2019年よりフリーで活動中。
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