ソニー・ロリンズ起死回生のアルバム『The Bridge』【ジャズ数珠つなぎ】

JAZZあれこれ

どうも、ズワイガニです。

今回の記事は、ジャズ・アルバムを数珠つなぎで紹介していく企画になっています。

ジャズはその場限りのメンバーだったり、レギュラー・メンバーが入れ替わったりするのが、割と当たり前だったりします。一つのバンドにずっといたり、自身のバンドのメンバーが変わらないことの方が稀なんです。

そういう業界ですので、ミュージシャンのリレーション(関係)が分かると、音楽以外のアプローチからもジャズを楽しめるようになるんです。それぞれのミュージシャンの関係性やストーリーを知ることで、歴史モノを楽しむような楽しみ方ができるのです(笑)

ということで、今回は3回目になります。よろしくどうぞ。

スポンサーリンク

『ジャイアント・ステップス』からの〜!

前回は『ジャイアント・ステップス』についてでした。

前回の記事はこちら↓
コルトレーン・チェンジとは!?ジョン・コルトレーンの『ジャイアント・ステップス』【ジャズ数珠つなぎ】
どうも、ズワイガニです。今回の記事は、ジャズ・アルバムを数珠つなぎで紹介していく企画になっています。ジャズはその場限りのメンバーだったり、レギュラー・メンバーが入れ替わったりするのが、割と当たり前だったりします。一つのバンドにずっといたり、...

『ジャイアント・ステップス』をレコーディングする数年前に、ジョン・コルトレーンは一度マイルス・デイヴィス・クインテットを脱退しています。脱退後は、セロニアス・モンクのバンドに加入し、モンクから楽理の知識を教えてもらうと共に音楽的修業に一層打ち込むようになります。そして、スタイルを確立しつつ、自信を取り戻したコルトレーンは、数年後にマイルス・デイヴィス・クインテットに再加入しているんです。『ジャイアント・ステップス』は再加入後の自信に満ちた作品なんです。

そんなコルトレーンの進化を目の当たりにしてショックを受けたテナー・サックス奏者がいます。ソニー・ロリンズです。

ソニー・ロリンズとジョン・コルトレーンは、1956年にリリースされた『テナー・マッドネス』という楽曲で一度共演しているんです。この時の評価は、ロリンズの方が高かったと言われています。そんなライバルのコルトレーンがその後にとんでもない成長を遂げてしまったのですからロリンズは大変ショックを受けたそうです。

おそらくそのことが原因で、ロリンズは全盛期にあったにも関わらず1950年代末に自分の演奏を見つめ直すためという理由で、突如引退を宣言したのです。

そして、休んでいる間もずっと練習を続けていたロリンズは、約3年間の休業を経て、ついにカム・バックを果たします。それが1962年にリリースされたアルバム『The Bridge(橋)』です。

The Bridge(橋) / ソニー・ロリンズ

レコーディング:1962年1月30日-2月14日 / リリース:1962年 / レーベル:RCAビクター
ソニー・ロリンズ(ts)
ジム・ホール(g)
ボブ・クランショウ(b)
ベン・ライリー(ds:on1,2,3,4,6)
H・T・ソーンダース(ds:on5)

『The Bridge』について

アルバム『The Bridge』は、ソニー・ロリンズが約3年間の活動休止期間を経て1962年に発表した復帰作です。このアルバムは、休業中にロリンズがニューヨークのウィリアムズバーグ橋で練習を重ねたことから、付けられたタイトルなんです。

録音は1962年1月30日、2月13日、14日にニューヨークのRCAビクター・スタジオで行われました。参加メンバーは、ギターのジム・ホール、ベースのボブ・クランショウ、ドラムスのベン・ライリーとH・T・ソーンダース。ピアノレス・カルテットの編成になっていて、ロリンズのサックスとジム・ホールのギターが独特のハーモニーを生み出します。

タイトル曲『The Bridge』は、アルバム・タイトル同様、ロリンズがウィリアムズバーグ橋での練習にちなんで名付けられた楽曲で、速いテンポと技巧的な旋律が特徴です。ロリンズの情熱的な演奏に呼応するように、ジム・ホールのギターも情感豊かなバッキングとソロを展開しています。

また、ファースト・トラックである『Without a Song』は、1929年のミュージカル『Great Day』のためにヴィンセント・ユーマンスが作曲し、エドワード・エリスクとウィリアム・ローズが作詞した楽曲です。当初のミュージカルは短命でしたが、この曲は後に多くのアーティストによってカヴァーされて、スタンダード・ナンバーとして広く知られるようになりました。ちなみに、ロリンズは2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件の直後、ボストンでのコンサートで再び『Without a Song』を演奏しています。この公演は、音楽の持つ癒しの力を象徴するものとして高く評価されることとなりました。

他にも『Where Are You』『God Bless the Child』では、内省的で包み込むような繊細なバラードが聴けたりと、このアルバムは、ロリンズの音楽的探求と革新性を示す重要な作品として評価されています。ロリンズの復帰作として、彼のキャリアにおいて重要な位置を占める作品となりました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました