どうも、ズワイガニです。
ジャズを聴いていると、「あれ、この人も同じ苗字だぞ?」って気づくことってありませんか?
実はジャズの世界には、兄弟揃って超一流のミュージシャンとして活躍しているケースが結構多いんです!子供の頃から一緒に音楽を聴いて、一緒に楽器を練習してきた兄弟だからこそ出せる、阿吽の呼吸やグルーヴ感ってやっぱりあるんでしょうか・・・?
今回は、そんなジャズ界の「最強ブラザーズ」たちをピックアップしてご紹介します。
ジャズ初心者の方でも「この兄弟を押さえておけば間違いない!」という伝説のミュージシャンばかりなので、ぜひチェックしてみてくださいね!
ジョーンズ三兄弟(ハード・バップ〜モダン・ジャズの屋台骨)
- 長男:ハンク・ジョーンズ(ピアノ)
- 次男:サド・ジョーンズ(トランペット、フリューゲル・ホルン)
- 三男:エルヴィン・ジョーンズ(ドラム)
モダン・ジャズの歴史を語る上で絶対に外せないのが、このジョーンズ三兄弟です。
それぞれがジャズ史に名を残す超ビッグネームであり、別々のバンドでトップに上り詰めたという、まさに奇跡のような三兄弟です。
長男のハンクは、洗練された美しいタッチのピアノで知られ、長きにわたって数々の名盤に参加しました。マイルス・デイヴィスやチャーリー・パーカーなど、数え切れないほどの巨匠たちのレコーディングを支え、後年には「ザ・グレイト・ジャズ・トリオ」を結成。晩年まで現役でエレガントなピアノを弾き続けたレジェンドです。
次男のサドは、「カウント・ベイシー・オーケストラ」などで活躍した後、ドラマーのメル・ルイスと共に「サド・ジョーンズ&メル・ルイス・ジャズ・オーケストラ」を結成。モダンで洗練されたアレンジで、ビッグバンドの歴史を変えた天才アレンジャー兼トランペッターです。トランペットだけでなく、より太くて温かみのある音色を持つフリューゲル・ホルンの名手としても知られています。
そして三男のエルヴィンは、あのジョン・コルトレーンの黄金カルテットを支えた、ポリリズムを駆使するドラムの神様!彼が生み出した地鳴りのようなうねるビートは、ジャズ・ドラムの概念を根底から覆しました。
そんな凄すぎる三兄弟が揃ってレコーディングした奇跡のアルバムがこちら!
Keepin’ Up with the Joneses / The Jones Brothers (1958)
三兄弟が揃い踏みした貴重なリーダー作です。ちなみにベースを弾いているのはエディ・ジョーンズというベーシストなんですが、なんと彼だけは血縁関係のないただの同姓の人というオチがついています(笑)
さらに面白いことに、アルバムの後半ではイシャム・ジョーンズという作曲家のスタンダード曲を演奏しているのですが、このイシャムも全くの無関係!「ジョーンズ」という名前に徹底的にこだわった遊び心満載の企画盤なんですね。
兄弟だからこそのリラックスした雰囲気と、お互いの音をリスペクトし合うような極上のアンサンブルが楽しめる一枚です。
アダレイ兄弟(ファンキー・ジャズの代名詞)
- 兄:キャノンボール・アダレイ(アルト・サックス)
- 弟:ナット・アダレイ(コルネット)
続いては、ソウルフルでハッピーな「ファンキー・ジャズ」を牽引したアダレイ兄弟です。
二人のデビューのきっかけは、まさにアメリカン・ドリーム!1955年、フロリダからニューヨークへ遊びに来ていた二人が、たまたまジャズクラブ「カフェ・ボヘミア」に客として訪れました。そこで出演者の遅刻により、急遽キャノンボールが飛び入りでステージに上がることになったんです。
いざ演奏を始めると、その圧倒的なテクニックとスウィング感に会場は騒然!弟のナットもステージに引き上げられ、一夜にしてニューヨーク中の話題をさらい、そのままレコード・デビューを果たしてしまったという伝説のエピソードを持っています。
1955年といえば、モダン・ジャズの父であるチャーリー・パーカーが亡くなった年なんです。ジャズ界全体が次のヒーローを渇望していたタイミングでした。そこに彗星のごとく現れたアダレイ兄弟は、まさにジャズ界の救世主だったんです。
兄のキャノンボールは、マイルス・デイヴィスの大名盤『Kind of Blue』や『Milestones』にも参加した天才アルト・サックス奏者。チャーリー・パーカーの系譜を継ぐ圧倒的なテクニックと、ブルースのフィーリングを併せ持った豪快なプレイが魅力です。
弟のナットは、トランペットよりも少し丸みのある音色が特徴のコルネットを吹き、哀愁漂うプレイを得意としました。さらに作曲家としても超優秀で、数々のジャズ・スタンダードを生み出しています。
Somethin’ Else / キャノンボール・アダレイ (1958)
アダレイ兄弟の共演作は「キャノンボール・アダレイ・クインテット」名義でたくさんリリースされていますが、ジャズ初心者の方にまず聴いてほしいのは、兄キャノンボールの歴史的名盤である『Somethin’ Else』です。
マイルス・デイヴィスがサイドマンとして参加していることでも有名で、タイトル曲の『Somethin’ Else』や『Autumn Leaves(枯葉)』は必聴です。
実は、先ほど紹介したジョーンズ三兄弟の長男、ハンク・ジョーンズがこのアルバムで極上のピアノを弾いているんです!兄弟ミュージシャン同士の繋がりを感じるのも、ジャズの面白いところですよね。
また、兄弟のバンドのライヴ盤などを聴くと、弟ナットが作曲した『Work Song』や『Jive Samba』などの大ヒット曲で、二人が信じられないくらい息の合った掛け合いを披露しています。
ブレッカー・ブラザーズ(フュージョン界の最強兄弟)
- 兄:ランディ・ブレッカー(トランペット)
- 弟:マイケル・ブレッカー(テナー・サックス)
時代は進んで1970年代。ジャズとロックやファンクが融合した「フュージョン」の時代に大旋風を巻き起こしたのが、このブレッカー兄弟です!
「ブレッカー・ブラザーズ」というユニット名で活動し、超絶技巧とエレクトリックなサウンドで世界中の音楽ファンを熱狂させました。
実はこの二人、ジャズ界だけでなくポップスやロックの世界でも超売れっ子のスタジオ・ミュージシャンでした。ポール・サイモンやジェームス・テイラー、エアロスミスなど、数え切れないほどの名盤のバックで彼らのホーン・セクションが鳴り響いています。
兄のランディはファンキーでキレのあるトランペットを吹き、弟のマイケルは圧倒的なテクニックでテナー・サックスの限界を押し広げた、まさに現代サックスの最高峰とも言える存在です。
マイケルが亡くなった今でも、世界中のサックス奏者が彼の影響を受けています。性格的には、少し飄々としていてユーモアたっぷりの兄ランディに対し、弟マイケルはどこまでもストイックに楽器の可能性を追求する求道者タイプ。そんな対照的な二人がステージに立つと、信じられない化学反応が起きるんです。
Heavy Metal Be-Bop / The Brecker Brothers (1978)
ブレッカー・ブラザーズの代表作といえば、絶対に外せないのがこのライヴ・アルバム!フランク・ザッパのバンドでも活躍していた凄腕ドラマー、テリー・ボジオの激しすぎるドラムに乗せて、兄弟がエフェクターを通した電子管楽器で弾きまくる、超絶アグレッシヴな一枚です。
ジャズの枠を完全に飛び越えた、まさに「ヘヴィ・メタル」な熱量で、1曲目の『East River』のみスタジオ録音ですが、2曲目以降のライヴ音源のテンションの高さは、一度聴いたら忘れられないほどの衝撃ですよ。
アルバムの3曲目に収録されている『Some Skunk Funk』は、彼らの代名詞とも言える超名曲です。めちゃくちゃ難解で複雑なメロディを、兄弟が完璧なユニゾン(同じメロディを同時に吹くこと)でキメる瞬間は、思わず笑ってしまうほどのカッコよさです。
マルサリス兄弟(現代ジャズ界のロイヤル・ファミリー)
- 兄:ブランフォード・マルサリス(テナー・サックス、ソプラノ・サックス)
- 弟:ウィントン・マルサリス(トランペット)
最後にご紹介するのは、現在のジャズ界で最も影響力を持つと言っても過言ではないマルサリス兄弟です。父のエリス・マルサリス(ピアノ)をはじめ、トロンボーンのデルフィーヨ、ドラムのジェイソンもプロとして活躍する、まさにニューオーリンズが生んだジャズのロイヤル・ファミリー!
特に次男のウィントンは、1980年代に「アコースティック・ジャズの復権」を掲げてシーンのトップに躍り出ました。なんと、ジャズとクラシックの両部門で同じ年にグラミー賞を受賞するという、前人未到の偉業を成し遂げています。現在は「ジャズ・アット・リンカーン・センター」の芸術監督を務め、ジャズの伝統を守り伝える重要な役割を担っています。
一方、長男のブランフォードは、スティングのバンドに参加したり、人気テレビ番組『ザ・トゥナイト・ショー』の音楽監督を務めたりと、より自由で幅広い活動を展開してきました。
二人は若い頃、アート・ブレイキー率いる「ジャズ・メッセンジャーズ」などで共にプレイし、その後もウィントンの初期のバンドで素晴らしい共演を残しています。
実はこの二人、音楽性の違いから一時期ちょっとした確執があったことも知られています。1980年代半ば、ブランフォードが世界的ロックスターであるスティングのバンドに参加することを決めたとき、純粋なアコースティック・ジャズを追求していたウィントンは猛反発。バンドを辞めることになったブランフォードと少し距離ができた時期もありました。
しかし、大人になるにつれてお互いの音楽性を尊重し合うようになり、現在では深い絆で結ばれた素晴らしい兄弟関係を築いています。そんな人間臭いエピソードも、彼らの音楽に深みを与えているような気がしますよね。
Black Codes (From the Underground) / ウィントン・マルサリス (1985)
マルサリス兄弟の共演を堪能するなら、ウィントンが1980年代にリリースしたこの大名盤がおすすめです!
ブランフォードがテナー・サックスとソプラノ・サックスで参加しており、マイルス・デイヴィスの黄金クインテットを彷彿とさせるような、スリリングで知的なアコースティック・ジャズを展開しています。兄弟ならではの緊密なインタープレイは、何度聴いても鳥肌ものですよ!
おわりに
今回は「兄弟揃って活躍したジャズ・ミュージシャンたち」をテーマに、4組の最強ブラザーズをご紹介しました。
同じ環境で育ち、同じ音楽を聴いてきたはずなのに、プレイ・スタイルや個性がそれぞれ違っていて面白いですよね!
でも、いざ一緒に演奏すると、誰にも真似できないようなピタッと息の合ったグルーヴが生まれるのが、兄弟ならではの魔法なのかもしれません。
気になるミュージシャンがいたら、ぜひ彼らのアルバムを聴いて、その血の繋がりが織りなす極上のアンサンブルを体感してみてくださいね!

