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マイルス・デイヴィスの『Someday My Prince Will Come』を聴く。【4コマ漫画付き記事】

JAZZあれこれ

ここはとある町の喫茶店。

レコードを聴きながら今日もマスターはつぶやく。

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【4コマ漫画】喫茶店マスターのつぶやき18

マイルス・デイヴィスの『Someday My Prince Will Come(いつか王子様が)』の解説

ディズニー映画『白雪姫』の挿入歌としておなじみの『Someday My Prince Will Come(いつか王子様が)』。誰もが知っているこの夢見るような可愛らしいメロディが、ジャズの帝王の手にかかるとこんなにもクールでロマンチックに変身してしまうんです。

1961年にリリースされた本作は、マイルス・デイヴィスの数あるアルバムの中でも、特に初心者の方に激推ししたい一枚です。

まず目を引くのが、美しい女性が微笑むロマンチックなジャケット写真。実はこの方、当時のマイルスの奥様でダンサーだったフランシス・テイラーなんです。当時のアメリカでは黒人女性がレコードのジャケットを飾ることは異例でしたが、マイルスは「これは俺のアルバムだ。俺が彼女の王子様なんだから、彼女をジャケットにしろ!」とレコード会社に要求したのだとか。マイルスの俺様っぷりと、奥様への深い愛情が伝わってくる最高のエピソードですよね。

さて、このアルバムが録音された1961年春、マイルスのバンドは少しばかり過渡期にありました。歴史的名盤『Kind of Blue』を支えたサックス奏者たちが次々と独立してしまい、新たにテナー・サックスの担当としてハンク・モブレーが加入したばかりだったんです。ピアノのウィントン・ケリー、ベースのポール・チェンバース、ドラムスのジミー・コブという極上のリズム隊をバックに、モブレーも持ち前のブルージーで温かみのあるプレイを披露しています。

しかし、このアルバムを伝説にしている最大の理由は、ある「乱入劇」にあります。

なんと、すでにマイルスの元を離れて自分のバンドで大活躍していた元メンバーのジョン・コルトレーンがスタジオに顔を出し、タイトル曲の『Someday My Prince Will Come』『Teo』の2曲にゲスト参加しているんです。これがマイルスとコルトレーンの最後の共演録音となりました。

タイトル曲を聴いてみてください。心地よい3拍子のリズムに乗って、まずはマイルスがミュート(弱音器)をつけたトランペットで、あの有名なメロディを囁くように美しく奏でます。続いてハンク・モブレーが、優等生でメロディアスな素晴らしいソロを吹き上げます。「ああ、素敵な演奏だな・・・」とウットリしていると、曲の後半、空気を切り裂くような圧倒的な音圧でコルトレーンが飛び込んでくるんです。

モブレーの優しくて丸みのあるテナー・サックスと、コルトレーンの求道者のように激しく鋭いテナー・サックス。同じ楽器なのに、ここまで個性が違うのかと驚くはずです。ジャズの醍醐味である「プレイヤーの個性のぶつかり合い」を、これほど分かりやすく、かつエモーショナルに味わえるトラックはなかなかありません。

美しいメロディ、極上のスウィング感、そしてちょっぴりのヒリヒリとしたスリル。ぜひ、マイルスが魔法をかけた「大人の白雪姫」の世界にどっぷりと浸ってみてください。

4コマ作者

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商業誌での受賞経験あり。
約1年間Web連載の漫画原作(ネーム担当)経験あり。
2019年よりフリーで活動中。
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