どうも、ズワイガニです。
「ジャズって難しそう・・・」なんて思っているあなた。
そのイメージ、「クリフォード・ブラウンの再来」と呼ばれた天才トランペッター、リー・モーガンが一発で吹き飛ばしてくれます!
彼の代表作『ザ・サイドワインダー(The Sidewinder)』は、ジャズ史に残るロック・ジャズの決定盤!キャッチーでグルーヴィー、難しいよりも気持ちいいが先にくる名盤なんです。
今回は、商業的にも大ヒットしたこのアルバム『ザ・サイドワインダー』の魅力を紹介します!
リー・モーガンとは
1938年生まれ、ペンシルベニア州フィラデルフィア出身の天才トランぺッター。
なんと18歳でディジー・ガレスピーのバンドに加入!その年にはもうリーダー・アルバムを録音してしまうという天才すぎる男です。
彼が登場したのは、名トランぺッター、クリフォード・ブラウンが亡くなった直後。その圧倒的な演奏力と若さから、「クリフォード・ブラウンの再来」と呼ばれるほどの注目を集めました。
そして、57年のアルバム『Lee Morgan Vol.3』での名演『I Remember Clifford』(ベニー・ゴルソン作曲)は必聴です。クリフォード・ブラウンを追悼する曲を「再来の本人」が吹くという、もうドラマみたいな話です。
同年には、ジョン・コルトレーンの『ブルー・トレイン』のレコーディングに参加しています。
58年から61年まで、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズに在籍。名盤『モーニン』を引っさげて世界ツアーを回り、「若きハードバップの旗手」として一気にスターダムへ。
そして、彼のキャリアを決定づけた作品が1963年に録音された『ザ・サイドワインダー』なんです。
その後もリーダー作やサイドメンとして活躍しますが、1972年2月にニューヨークのジャズ・クラブ「スラッグス」でのライブ演奏の2ステージ目と3ステージ目の合間の休憩時間に、三角関係のもつれから年上の愛人に銃で撃たれ、わずか33歳でこの世を去ります。
The Sidewinder(ザ・サイドワインダー)
1963年に録音されたリー・モーガンのリーダー作。
このアルバムは、当時のブルーノート・レーベル最大のヒットを記録しました。しかもクライスラーの車のCMにまで使われてしまうほど人気爆発でした。(ちなみにこのCM、許可を取ってなかったらしくてすぐ放映中止になったそうです。笑)
レコーディング・メンバーは以下になります。
リー・モーガン(tp)
言わずと知れた本作の主役。若くして天才の名を欲しいままにした、ハード・バップのスター。ロックのビートを取り入れ、ジャズに新しい風を吹き込んだ立役者!
ジョー・ヘンダーソン(ts)
力強くも繊細、そしてどこか知的なサックスの音色が特徴。後に名盤『Page One』などを残し、モダン・ジャズを代表するテナー・サックス奏者に。
バリー・ハリス(p)
ビ・バップ直系のピアニスト。伝統の中にスウィング感をしっかり刻む職人タイプ。
ボブ・クランショウ(b)
あのソニー・ロリンズを何十年も支えた実力派ベーシスト。どっしりしたリズムと柔らかいグルーヴで、このアルバムでもバンド全体を優しく包み込んでいます。
ビリー・ヒギンス(ds)
オーネット・コールマンのバンドでデビューした名ドラマー。フリー・ジャズからハード・バップまで自在に叩き分けるリズムの魔術師。
8ビートがジャズを動かした!
表題曲『ザ・サイドワインダー』はリー・モーガン作曲です。
8ビートをいち早くジャズに取り入れた楽曲。8ビートはロックの基本ビートとされるため、ジャズ・ロックなんて呼ばれたりしました。
イントロからうねるベース、ノリの良いドラム、そしてトランペットのキャッチーなテーマ!「難しいジャズ」ではなく、「体が自然に動くジャズ」なんです。
ジョー・ヘンダーソンのサックスが熱く歌い、バリー・ハリスのピアノが軽快に転がり、リーダーのリー・モーガンが吹きまくる!
聴けば思わず体が動く、ジャズとロックの境界を軽やかに越えた名曲です。
おわりに
『ザ・サイドワインダー』は、ハード・バップの熱さとロックのグルーヴが見事に融合したアルバム。どんな人でも自然と足でリズムを取ってしまう名盤です。
ぜひ一度、耳を傾けてみてくださいね!


