どうも、ズワイガニです。
突然ですが、ジャズに興味を持ち始めた皆さんは、こんな悩みにぶつかっていませんか?
「ジャズってかっこいいし、大人な雰囲気で憧れるけど・・・いざ聴こうとすると、何から聴けばいいのか全く分からない!」
そうなんですよね。ジャズの歴史は100年以上もあり、星の数ほどのアーティストと、それこそ海のように広大なアルバムが存在しています。レコード屋さんやCDショップに行っても、サブスクのアプリを開いても、どこから手をつけていいか迷子になってしまうのは、ジャズ初心者あるあるです。
「とりあえず有名な人の名前は聞いたことあるけど、どのアルバムが名盤なの?」「適当にプレイリストを再生してみたけど、BGMとして流れていくだけで、イマイチ良さが分からない・・・」
そんな風に感じて、ジャズの入り口で立ち止まってしまっているあなたに、今日はお知らせしたい最高のガイドブックがあります。
それが、今回レビューする書籍『人生が変わる 55のジャズ名盤入門』(鈴木良雄著 / 竹書房新書・2016年)です。
この本は、単なるカタログ的なアルバム紹介本ではありません!日本を代表するプロのジャズ・ミュージシャンが、初心者のために「これだけは聴いておけ!」という55枚を厳選し、愛と熱量たっぷりに語ってくれている1冊なんです。
この記事では、なぜこの本が初心者にとって最強の道しるべになるのか、その魅力をたっぷりとご紹介していきます!
著者「鈴木良雄(チンさん)」ってどんな人?
本の内容に入る前に、まずは著者の鈴木良雄さんについて触れておきましょう。
本を選ぶとき、「誰が書いているか」ってすごく重要ですよね。特に音楽のレビュー本は、音楽評論家やライターが書いていることが多いのですが、この本の著者は現役バリバリのプロ・ミュージシャンなんです。
鈴木良雄さんは、1946年生まれのプロ・ベーシスト。ジャズ・ファンの間では「チンさん」という愛称で親しまれている、日本ジャズ界のレジェンド的な存在です。
音楽一家に生まれ、幼少期からヴァイオリンやピアノに親しんできた鈴木さんですが、早稲田大学のモダン・ジャズ研究会(通称「ダンモ研」)ではピアノを担当していました。ちなみに、このダンモ研の1年後輩には、あのタモリさんがいらっしゃったというから驚きですよね!
大学卒業後、プロのピアニストとして活動を始めますが、日本ジャズ界の巨匠、渡辺貞夫さんに師事したことをきっかけに、ベースへと転向します。そこからの快進撃が本当に凄いんです。
1973年に渡米し、ジャズの本場ニューヨークへ。そこで、スタン・ゲッツや、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズといった、ジャズの歴史に名を刻む世界的レジェンドたちのバンドでレギュラー・ベーシストとして活躍したんです!
野球で例えるなら、メジャーリーグの超名門チームにポッと入って、レギュラーとしてバリバリ活躍していたようなものです。まさに「本物のジャズ」を現場の最前線で体感してきた人物なんですよね。
そんな、世界最高峰のステージで一流の音を出し続けてきたプロのベーシストが、「ジャズってこういうところが面白いんだよ」と、初心者のために優しく語りかけてくれるのが、この『人生が変わる 55のジャズ名盤入門』なのです。
評論家目線ではなく、プレイヤー目線で書かれているという点が、この本の最大の強みと言えます。
『人生が変わる 55のジャズ名盤入門』の魅力とは?
では、具体的にこの本のどこがそんなに素晴らしいのか。いくつかのポイントに分けて解説していきましょう。
1. 仲間とのアンケートから生まれた「ガチの55枚」
この本で紹介されている55枚のアルバムは、鈴木さん一人の好みだけで選ばれたわけではありません。鈴木さんが信頼する音楽仲間たちにアンケートを取り、「初心者に聴かせるなら、これさえ聴けば大丈夫!」という意見を集約して厳選されたラインナップになっています。(アンケート結果の中にはタモリさんの回答もありました笑)
ジャズのアルバムって、「名盤」と呼ばれるものが本当にたくさんあるんですが、中には「歴史的な価値は高いけど、初心者がいきなり聴くにはちょっと難解すぎる・・・」というものも少なくありません。
しかし、この本で選ばれている55枚は、プロのミュージシャンたちが「まずはここから入ってほしい」「ジャズの楽しさを知るにはこれが一番!」と太鼓判を押した、いわばハズレなしの鉄板リストなんです。
2. 「オネスティー(正直さ)」にあふれた本音の解説
この本の序文で、鈴木さんはマイルス・デイヴィスの「ジャズで大切なことはオネスティー(正直さ)だ」という言葉を引用しています。その言葉通り、この本の解説は忖度なしの本音で書かれています。
一般的なディスク・ガイドだと、「このアルバムは歴史的に重要で・・・」とか「このコード進行が革新的で・・・」といった、少しお堅い解説になりがちです。しかし鈴木さんは、「このアルバムの〇〇のソロは、何度聴いても鳥肌が立つ」「実はこの時のリズム隊は、ちょっと荒削りなんだけど、そこがたまらなくスリリングなんだ」 といったように、プレイヤーとしての血の通った言葉で、音楽の熱量をそのまま伝えてくれます。
難しい音楽理論が分からなくても、「へえ、プロのミュージシャンはそんなところを聴いて興奮しているんだ!」という疑似体験ができるのが、読んでいて最高に楽しいポイントです。
3. フランクでとっつきやすいカジュアルな文体
ジャズの本というと、どうしても小難しい専門用語が並んでいるイメージがあるかもしれません。しかし、この本は本当に読みやすい! 鈴木さんの人柄がにじみ出るような、フランクで温かい語り口調で書かれているので、まるでジャズ・バーのカウンターで、マスターから「このレコード、ちょっと聴いてみてよ。ここが凄くかっこいいんだよ」と教えてもらっているような感覚になります。
ジャズに興味を持ち始めたばかりの方でも、間違いなくスッと入り込める文体だと思います。
どんな名盤が紹介されているの?(チラ見せ)
「じゃあ、具体的にどんなアルバムが載っているの?」と気になりますよね。
ここでは、本の中で紹介されている名盤の中から、特にジャズ初心者にとって外せない2枚をチラ見せでご紹介します。
Kind of Blue / マイルス・デイヴィス (1959)
ジャズの歴史を語る上で、絶対に避けては通れないのがこの『カインド・オブ・ブルー』です。おそらく、世界で一番売れたジャズ・アルバムと言っても過言ではありません。
マイルス・デイヴィス(トランペット)を中心に、ジョン・コルトレーン(テナー・サックス)、キャノンボール・アダレイ(アルト・サックス)、ビル・エヴァンス(ピアノ)など、のちにジャズ界の頂点に立つレジェンドたちが集結した奇跡のような1枚。
鈴木さんは本書の中で、このアルバムがなぜこれほどまでに特別なのかを、プレイヤーならではの視点で解き明かしてくれます。単に「モード・ジャズの完成形」といった教科書的な説明ではなく、スタジオ内の張り詰めた空気感や、各プレイヤーが探り合いながら極上の音を紡ぎ出していくスリリングな過程を、ベーシストの耳を通して語ってくれるのです。
これを読んだ後に『カインド・オブ・ブルー』を聴き直すと、今まで聴こえなかった音が聴こえてくるような感覚に陥りますよ。
Saxophone Colossus / ソニー・ロリンズ (1956)
通称「サキコロ」と呼ばれる、これまたジャズの超大名盤です。ソニー・ロリンズ(テナー・サックス)の豪快で歌心あふれるプレイが堪能できる1枚で、特に1曲目の「セント・トーマス」は、ジャズに詳しくない人でもどこかで耳にしたことがあるはずの陽気な名曲です。
このアルバムに対する鈴木さんの解説もまた秀逸です。ロリンズの圧倒的なアドリブの構成力や、リズム隊との息の合った掛け合いの妙を、「ここを聴いて!」とピンポイントで教えてくれます。
特に、ベースやドラムがどのようにしてソリスト(ロリンズ)を気持ちよく乗せているのか、という「裏方の凄さ」に気づかせてくれるのは、やはり一流のベーシストである鈴木さんならではの視点でしょう。
この本を読むべき理由&おすすめの楽しみ方
ここまでご紹介してきてお分かりいただけたかと思いますが、『人生が変わる 55のジャズ名盤入門』は、これからジャズを深く楽しみたいと思っている方にとって、まさに最強の羅針盤になると思います。
こんな方に、特におすすめします!
- 「ジャズを聴いてみたいけど、敷居が高い」と感じている人
- サブスクでジャズを流しているけど、曲名やアーティスト名が全く頭に入ってこない人
- プロのミュージシャンが、どんな耳で音楽を聴いているのか知りたい人
- 一生モノの趣味として、ジャズをじっくり味わってみたい人
そして、この本を120%楽しむためのオススメの楽しみ方があります。
それは、「本を読みながら、紹介されているアルバムを実際に再生する」という方法です。
今はApple MusicやSpotifyなどの音楽サブスクリプションサービスで、この本に載っている55枚のアルバムのほとんどを簡単に聴くことができます。
鈴木さんの解説を1ページ読み、「なるほど、この曲のベース・ラインが凄いのか」と思ったら、すかさずその曲を再生して耳を傾けてみてください。するとどうでしょう。ただのBGMだったジャズが、急に立体的な生きた音楽として迫ってくるはずです。
「あ、今サックスがすごいフレーズ吹いた!」「ピアノのバッキングが絶妙だな・・・」
そんな風に、音楽の解像度がグッと上がる瞬間を味わえます。55枚のアルバムをこの本と共に聴き終えた頃には、あなたの耳はすっかり「ジャズの耳」に育っていることでしょう。
大げさではなく、音楽の聴き方が変わり、日々の生活を彩る楽しみが増える・・・まさに「人生が変わる」体験になるはずです!
おわりに
いかがでしたでしょうか。今回は、鈴木良雄さんの著書『人生が変わる 55のジャズ名盤入門』をレビューさせていただきました。
ジャズって、最初はちょっと取っ付きにくい印象があるかもしれません。でも、本当に良い案内人がいれば、その扉は驚くほど簡単に開きます。そして一度扉を開けてしまえば、そこには一生かかっても掘り尽くせないほど豊かで、奥深い音楽の世界が広がっているんです。
鈴木良雄さんという、これ以上ないほど贅沢で頼もしいガイドと一緒に、あなたもジャズ沼へ一歩踏み出してみませんか?
きっと、あなたの人生を豊かにしてくれる、素晴らしい名盤たちとの出会いが待っていますよ!

