ビル・エヴァンスの代表作『Waltz For Debby』を聴く。【4コマ漫画付き記事】

JAZZあれこれ

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レコードを聴きながら今日もマスターはつぶやく。

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【4コマ漫画】喫茶店マスターのつぶやき8

『Waltz For Debby』の解説

『Waltz for Debby(ワルツ・フォー・デビイ)』は、ピアニスト、ビル・エヴァンスの代表作のひとつです。優しくて繊細、だけどどこか切なさも感じるこの曲は、ジャズの名曲として知られています。

もともとこの曲は、エヴァンスが1956年に初めてトリオを組んだ時期に作曲されたもので、彼の姪であるデビィ・エヴァンスに捧げられた楽曲です。タイトル通り、少女デビィの無邪気さや純粋さ、愛らしさをワルツ(3拍子)で表現した曲になっています。

初期の録音ではピアノ・ソロでしたが、もっとも有名なのは1961年のライヴ・アルバム『Waltz for Debby』に収録されたトリオ・バージョンです。このアルバムでは、スコット・ラファロ(ベース)とポール・モチアン(ドラム)とのトリオで、ニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードでの演奏が収録されています。

この録音は、ただ美しいだけでなく、トリオ全員が会話するように演奏しているのが大きな魅力です。このような演奏を”インタープレイ”と呼ぶのですが、特にラファロのベースは、通常の伴奏を超えて、メロディを支えたり、時には一緒に歌ったりと、まるでピアノと対等に語り合っているように演奏しています。ドラムのポール・モチアンも、派手な技術を見せびらかすのではなく、空間を生かした音で繊細なバランスを保っています。

また、『Waltz For Debby』は、歌詞付きのヴォーカル・ヴァージョンも有名で、作詞はジャズ評論家でもあるジーン・リースが担当しました。歌詞の解釈としては、子どもの成長を喜びつつも、いつの日か、自分の元から離れていってしまう郷愁を描いているように感じます。

歌詞付きのヴァージョンは、エヴァンスがスウェーデンの歌手モニカ・ゼタールンドと共演した『Monica Zetterlund, Bill Evans』や、トニー・ベネットと共演した『The Tony Bennett / Bill Evans Album』に収録されているものが有名です。

『Waltz for Debby』は、ビル・エヴァンスの音楽的哲学である「ジャズは会話であり、詩である」が体現されたことにより、ジャズのスタイルとして衝撃を与えた作品です。この曲の持つ美しさと深みは、時代を超えて今も多くの人々に愛され続けています。

4コマ作者

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商業誌での受賞経験あり。
約1年間Web連載の漫画原作(ネーム担当)経験あり。
2019年よりフリーで活動中。
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