リハーモナイズとは?ジャズに欠かせないコード置き換えテクニック【用語かんたん解説】

座学あれこれ

どうも、ズワイガニです。

ジャズを聴いていて、「同じメロディなのに、コードが全然違う!」と感じたことはありませんか?

その秘密が、リハーモナイズ(Reharmonization)といって、もとのコード進行を置き換え、曲に新しい響きや雰囲気を与えるアレンジ技法です。

この記事では、リハーモナイズの基本的な考え方やよく使われる手法をかんたんに解説します!

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リハーモナイズとは?

リハーモナイズとは、既存のメロディはそのままに、コード進行を変更する技法のことです。

簡単に言うと、伴奏の和音を入れ替えて、曲の雰囲気を変えることなのですが、ジャズでは特に重要な要素で、プレイヤーやアレンジャーの個性を発揮できるポイントとなります。

「リハモ」と略して呼ばれたりすることもあります。

なぜリハーモナイズをするのか?

同じメロディでも、コードを少し変えるだけで曲の雰囲気を一変させられるのがリハーモナイズの魅力です。

では、ジャズ・プレイヤーはどんな場面でこのテクニックを使うのでしょうか?ここでは、リハーモナイズが活躍する典型的な3つのシチュエーションを紹介します。

曲に新しい表情を与える

オリジナルのコード進行をそのまま弾くのも悪くありませんが、何度も同じ曲を演奏していると「ちょっと飽きてきたな…」と感じることがありますよね。そんな時に役立つのがリハーモナイズです。

たとえば、明るく元気な曲を、少し切ない響きにアレンジすることも可能です。映画に例えるなら、同じシーンでもBGMを変えると雰囲気がまったく違ってくるのと同じで、同じメロディでも、コードを少し変えるだけで曲の雰囲気をガラッと変えることができます。

アドリブに変化をつける

ジャズといえば、やっぱりアドリブ。でも、同じコード進行でずっとソロをしていると、どうしてもワン・パターンになりがちです。そんな時に、コードをちょっと変えてみると、即興で使える音の幅が広がります。

新しいコードを入れると、「あ、この音が合うな」「こんなフレーズもいける!」という発見が出てきて、演奏に新鮮さが生まれます。さらに、リハーモナイズはメンバー同士のやり取りを楽しくするスパイスにもなります。ピアニストがちょっと違うコードを入れると、「おっ、そう来たか!」とサックスやトランペットが反応する。こういう掛け合いが生まれると、演奏全体が活き活きしてきます。

モダンなサウンドを作れる

昔からあるスタンダード曲を演奏する時、原曲通りのコード進行だとクラシックな雰囲気になりがちです。もちろんそれも素敵ですが、「もう少し今っぽくしたい」と思ったら、リハーモナイズの出番です。

例えば、コードにちょっとした彩り(テンション)を加えたり、シンプルな進行を少しおしゃれに変えたりすると、一気にモダンな響きに変えることができます。イメージとしては、シンプルな料理にハーブやスパイスをちょっと足して、味に深みを出す感じです。音楽も同じで、ひと工夫でガラッと雰囲気が変わります。

リハーモナイズの基本的な考え方

リハーモナイズの基本は、メロディに合う和音であれば自由に置き換えてOKということです。ただし、完全に自由なわけではなく、下記のポイントは最低限守る必要があります。

  • メロディの音をコード・トーン(ルート、3度、5度、7度)に含める
  • 調性(Key)を大きく外しすぎない

よく使われるリハーモナイズの方法(基礎編)

リハーモナイズにはいろいろなやり方がありますが、まずはジャズでよく使われる4つの基本テクニックを紹介します。

① Ⅱ-Ⅴ進行を追加する

ジャズといえば「Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ」という進行がよく出てきます。

この「Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ」進行を既存コードに挿入する方法があります。これを足すと、ぐっとジャズっぽい響きになります。

例:
元のコード → C | C | G7 | C
追加したコード → C | Dm7 G7 | C

② トライトーン・サブスティチューション

名前は難しそうですが、やることはシンプルです。G7D♭7に変えるだけ!理由は、G7とD♭7の中に含まれる大事な音(3度と7度)が同じだからです。

こうすると、ベースの動きが半音ずつになり、とてもスムーズでおしゃれな感じになります。

例:G7 → Db7

③ パッシング・ディミニッシュ

コードとコードの間に、ちょっとスパイスを加えるようにディミニッシュ・コードを挟むテクニックです。滑らかにつなぐための一手間として用います。

ディミニッシュ・コード:短3度(半音3つ)の間隔で3つの音を積み重ねたコードで、不安定で緊張感のある響きが特徴です。コードとコードの間に挟んで、滑らかな進行を作る時によく使われます。

例:C → C#dim → Dm7

④ モーダル・リハーモナイズ

これは、コード進行をざっくりシンプルにして、特定のスケール(モード)でまとめる方法です。

例えば「枯葉」のⅡ-Ⅴ-Ⅰ進行(Dm7 → G7 → Cmaj7)を、そのままコードに沿って弾く代わりに、Dドリアンという1つのスケールでまとめて弾いてしまう方法です。

Dドリアン:「レ」から始まるスケールで、D・E・F・G・A・B・Cを使います。このスケールだけで3つのコードをカバーできるので、複雑なコード・チェンジを気にせず、自由なフレーズを作れるのが特徴です。

スケール一発で弾くことで、モーダルでクールな響きになります。

おわりに

いかがでしたか?リハーモナイズは、ちょっとしたコードの工夫で曲の表情を大きく変えられる面白いテクニックでしたね!

聴き慣れたスタンダード曲が、アレンジ次第でまるで別の曲のように生まれ変わる。その一瞬の響きの違いに、「あっ!」と驚かされたり、心を動かされたりするのも、ジャズならではの醍醐味だと思います。

ということで今回は、プレイヤーの工夫と遊び心が詰まったリハーモナイズという技法について解説させていただきました〜!

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