どうも、ズワイガニです。
ソニー・ロリンズの名曲としてジャズ・スタンダードになっている『セント・トーマス』という曲があります。
今回は、『セント・トーマス』について紹介します。
名盤『サキソフォン・コロッサス』に収録
以前、ソニー・ロリンズの1回目の雲隠れについて紹介しました。
1度目の活動休止後、『クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット』に参加しながら、1956年に再びニューヨークに戻ってきたソニー・ロリンズ。
その年にプレスティッジからリリースされたのが、『Saxophone Colossus(サキソフォン・コロッサス)』です。
このアルバムの1曲目に収録されているのが、今回紹介する『St.Thomas(セント・トーマス)』になります。
レコーディング・メンバーは以下になります。
- ソニー・ロリンズ(ts)
- トミー・フラナガン(p)
- ダグ・ワトキンス(b)
- マックス・ローチ(ds)
名盤請負人のトミー・フラナガンがいますね。
マックス・ローチがドラムスで参加しています。レコーディング日が56年6月22日となっています。
クリフォード・ブラウンが亡くなったのが56年6月26日ですので、亡くなる4日前にレコーディングしたんですね。ということは、『双頭のクインテット』在籍中でのレコーディングだったようですね。
『セント・トーマス』は母親がよく歌っていた歌
『セント・トーマス』は伝統的なカリプソ・ソングです。
カリプソは20世紀にカリブ海で広がった音楽なんじゃよ。
植民地と化したカリブ海の島々に連れてこられたアフリカ人たちはお互いに言葉が通じなかったために、コミュニケーションとして用いられた音楽がカリプソの始まりなんじゃ。レゲエのルーツの一つと言われておるぞ。
この曲は、ソニー・ロリンズの母親がヴァージン・アイランドのセント・トーマス島出身で、ソニー・ロリンズが子どもの頃によく歌っていたといいます。
元々はイングランドの伝承歌曲『The Lincolnshire Poacher』で、伝承過程でヴァージン諸島特有の形に変容していったとされています。
ソニー・ロリンズはこの曲をアレンジしただけなので、作曲者ではなくアレンジャーとしてクレジットしてもらいたかったが、レコード会社によって作曲者になってしまったと、後のインタビューで語っていました。
この曲は、ソニー・ロリンズの生涯のレパートリーとなり、2005年に行われた最後の日本公演でも演奏されました。
コメント