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コンテンポラリー・レコードとは?聴いておきたい名盤4選

JAZZ

どうも、ズワイガニです。

アート・ペッパーの歌うようなアルト・サックスに、ソニー・ロリンズの豪快なテナー・サックス。そして、ハンプトン・ホーズの躍動感あふれるピアノ・トリオ。コンテンポラリー・レコードには、そんな名演を楽しめるアルバムがそろっています。

しかも、このレーベルは録音の良さでも評判なんです。1950年代のアルバムなのに、演奏者がすぐそばにいるような音を楽しめるんです。

ロサンゼルスを拠点に、西海岸(ウエスト・コースト)ジャズの名盤を数多く送り出してきたコンテンポラリー。今回は、そのちょっと意外な歴史と録音の話を交えながら、まず聴いておきたい4枚をご紹介します。

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映画の仕事からジャズへ。コンテンポラリーが生まれるまで

コンテンポラリー・レコードが生まれたのは、1951年のロサンゼルス。創設者はレスター・ケーニッヒという人物です。

実はこのケーニッヒ、ハリウッドで脚本や映画制作の仕事をしていました。ウィリアム・ワイラー監督のもとで、『ローマの休日』などの制作にも関わっていたんです。

ジャズが好きだった彼は、映画の仕事をしながらレコード制作にも取り組んでいました。1949年には、ニューオーリンズ・ジャズなどを扱う「グッド・タイム・ジャズ」を設立。続いてコンテンポラリーを立ち上げます。当初は現代クラシックを紹介するためのレーベルでしたが、やがてモダン・ジャズに力を入れるようになりました。

そんなケーニッヒの人生を大きく変えたのが、当時のアメリカで吹き荒れた「赤狩り」です。1953年、下院非米活動委員会に証言を求められた彼は、政治的な立場を理由に映画界のブラックリストに載せられてしまいます。ハリウッドでの活動を絶たれたことで、すでに始めていた音楽の仕事に専念するようになりました。

ケーニッヒが大切にしていたのは、ミュージシャンが表現したい音楽を、きちんと作品に残すこと。音楽への理解と誠実な仕事ぶりで信頼を集め、西海岸のミュージシャンだけでなく、現地を訪れたソニー・ロリンズなどの名演も録音しています。

まだ広く理解されていなかった、新しい音楽にも耳を傾けました。その一例が、のちにフリー・ジャズの開拓者となるオーネット・コールマンです。

1958年に発表されたデビュー・アルバム『Something Else!!!!』は、コンテンポラリーから生まれた作品。新しい音楽を受け入れる、そんなケーニッヒの懐の深さも、このレーベルの魅力ですね。

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名盤が生まれたのは、レコード会社の発送室

コンテンポラリーのアルバムを聴くと、サックスの息づかいや、ベースの弦の響きまで身近に感じられます。そんなクリアで生々しい録音を支えたのが、レコーディング・エンジニアのロイ・デュナンです。

デュナンは、大手のキャピトル・レコードで経験を積み、1956年にコンテンポラリーへ移りました。

驚くのは、その録音場所。彼が多くの名盤を録音したのは、オフィスの奥にあるレコードの在庫が並ぶ発送室だったんです。隣の小部屋には録音を確認するためのコントロール・ルームを設け、限られたスペースに録音環境を作り上げました。

音づくりの基本は、良いマイクとシンプルな録音の仕組み。マイクをそれぞれの楽器に近づけ、ほかの楽器の音が入りすぎないようにしながら、全体のバランスを整えていきます。マイクから録音機までの音の通り道もシンプルにすることで、クリアな音を残しました。

さらに、1956年にはステレオ録音にも取り組んでいました。まだステレオのレコードが広く普及する前から、左右のチャンネルを使って録音していたわけです。

1950年代の音楽を聴いて、「こんなに楽器の音がはっきり聴こえるの?」と驚かされるのですが、その裏には、こうしたデュナンたちの工夫があったんですね。

まず聴いておきたい名盤4選

ここからは、コンテンポラリーの魅力を楽しめる4枚をご紹介します。サックスが好きな方にも、ピアノ・トリオから入ってみたい方にも、おすすめしたい作品です。

Art Pepper Meets the Rhythm Section / アート・ペッパー (1957)

西海岸を代表するアルト・サックス奏者、アート・ペッパーの代表作です。

タイトルにある「リズム・セクション」は、当時マイルス・デイヴィスのバンドを支えていた3人のこと。レッド・ガーランド(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラムス)という顔ぶれです。

西海岸のペッパーが、マイルスの名リズム隊と共演する。この組み合わせだけでも、聴いてみたくなりますよね。

ところが、録音の始まりは少し落ち着かないものだったようです。当時のライナーノーツによると、妻のダイアンが手配したこのセッションを、ペッパーは当日の朝まで知らされていませんでした。そんな状況でも、リズム隊の演奏に刺激されて調子をつかんでいったそうです。

まずは、1曲目の『You’d Be So Nice to Come Home To』をぜひ。歌うようなアルト・サックスと、しなやかにスウィングする伴奏がぴたりと重なります。華やかなのに、どこか切ない。この音色に惹かれる方も多いのではないでしょうか。

ジャズ・サックスの魅力に触れたいとき、最初の1枚にもおすすめです。

Way Out West / ソニー・ロリンズ (1957)

ニューヨークで活躍していたテナー・サックスの巨人、ソニー・ロリンズが、西海岸で録音した名盤です。1957年3月7日、レイ・ブラウン(ベース)、シェリー・マン(ドラムス)とともに吹き込まれました。

まず、ジャケットからして楽しい1枚。カウボーイ・ハットをかぶったロリンズが、サックスを手に砂漠に立っています。写真家ウィリアム・クラクストンによるこの写真は、西部劇好きだったロリンズ自身のアイデアなんです。

収録曲にも、『I’m an Old Cowhand』や『Wagon Wheels』といった西部にちなんだ曲が選ばれています。

演奏のポイントは、サックス、ベース、ドラムスによるピアノレス・トリオ。和音を鳴らすピアノがいないぶん、サックスのフレーズやベースの動き、ドラムスの反応がよく聴こえます。3人のやり取りを追っていくのが楽しいアルバムです。

豪快に吹いたかと思えば、ふっと間を空けたり、ユーモラスなフレーズを挟んだり。ロリンズの演奏は、次にどんな音が出てくるのか、つい耳を傾けたくなります。ベースやシンバルの響きも、ぜひ一緒に楽しんでみてください。

My Fair Lady / シェリー・マン&ヒズ・フレンズ (1956)

「親しみやすいメロディからジャズに入ってみたい」という方には、こちら。

名ドラマーのシェリー・マンが、ブロードウェイ・ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の曲を、ピアノ・トリオで演奏した大ヒット作です。ピアノはアンドレ・プレヴィン、ベースはリロイ・ヴィネガーが担当しています。

『I Could Have Danced All Night(踊り明かそう)』などの曲が、軽快にスウィングするジャズに。原曲を知っていればアレンジの変化を楽しめますし、知らなくても、明るく弾むピアノを追っているだけで楽しく聴けます。

一つのミュージカルの曲に絞って、ジャズのアルバムを作るという企画も大成功。この作品をきっかけに、ブロードウェイ作品をテーマにしたジャズ・アルバムが数多く作られるようになりました。

流れるようなプレヴィンのピアノと、その演奏を気持ちよく弾ませるシェリー・マンのドラムス。「ジャズは難しそう」と構えずに、まずはこの軽やかなやり取りを楽しんでみてください。

Hampton Hawes Trio, Vol. 1 / ハンプトン・ホーズ (1955)

ピアノをもう1枚ご紹介するなら、ハンプトン・ホーズも外せません。ブルースの味わいと、力強くスウィングする演奏が魅力のピアニストです。

こちらは、レッド・ミッチェル(ベース)、チャック・トンプソン(ドラムス)とのトリオを中心に演奏した、コンテンポラリーでの初期代表作です。

このアルバムにも、面白い録音の話が残っています。1955年6月28日、演奏を収録した場所は、なんとロサンゼルス警察学校の体育館兼講堂。このレーベル、録音場所の話だけでも興味をそそられますね。

ホーズの回想によると、そこには良いスタインウェイのピアノがありました。ケーニッヒには、堅苦しいスタジオの雰囲気を離れて録音したいという考えもあったそうです。

普段のステージと同じように演奏し、気分が乗ったところで録音機を回す。そんなリラックスした進め方で、セッションは深夜から明け方まで続きました。

演奏は、1曲目の『I Got Rhythm』から勢いたっぷり。ころころと転がるピアノのフレーズに、思わず体が揺れます。ブルージーな響きも気持ちよく、ピアノ独奏の『So in Love』では、また違った表情を楽しめます。

西海岸ジャズに「クールで落ち着いた音楽」というイメージがある方には、この熱気もぜひ。ピアノ・トリオを聴く楽しさが詰まった1枚です。

おわりに

コンテンポラリー・レコードは、演奏の良さと音の良さ、どちらも楽しめるレーベルです。

アート・ペッパーの歌心、ソニー・ロリンズの遊び心、シェリー・マンたちの軽やかなやり取り、ハンプトン・ホーズのあふれる勢い。同じレーベルでも、それぞれに違う楽しさがあります。まずは、気になった1枚から聴いてみてください。

好きな演奏が見つかったら、次は同じレーベルの別のアルバムへ。そんなふうに聴いていくと、ジャズの楽しみがぐっと広がりますよ!

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