どうも、ズワイガニです。
ジャズを聴き始めると、最初は「スウィング」や「4ビート」といったジャズ特有のリズムに耳を奪われますよね。でも、色々なアルバムを聴き進めていくうちに、「あれ・・・?この曲、なんだか南国っぽいぞ?」とか「思わず踊り出したくなるようなノリだな・・・」と感じる曲に出会うはずです。
そう、ジャズの歴史において「ラテン音楽」との融合はとっても重要なテーマなんです。その中でも特に大きな影響を与えたのが、ブラジル生まれの「サンバ」のリズム!
「えっ、サンバってあのリオのカーニバルで羽根をつけて踊るやつ・・・?」 と思ったあなた。大正解です!
今回は、そんな「サンバのリズム」の秘密に迫ります。リズムの特徴から、個性豊かな楽器たち、そしてジャズとの出会いまで、初心者の方にも分かりやすくフランクに解説していきます!
サンバのリズムの基本って?
まずは、サンバのリズムの基本構造から見ていきましょう。
サンバはブラジル発祥の音楽で、アフリカから連れてこられた人々の伝統的なリズムと、ヨーロッパの音楽が混ざり合って生まれました。
サンバのリズムの最大の特徴は、ズバリ「2拍子」であること!
ジャズやポップスの多くは「1・2・3・4」と数える4拍子ですが、サンバは「1・2、1・2」と数える2拍子(4分の2拍子や2分の2拍子)が基本なんです。行進曲と同じですね。
でも、ただの行進曲とはノリが全く違います。サンバ特有のグルーヴを生み出している秘密は、主に2つあります。
2拍目に強いアクセントが来る

「イチ、ニッ、イチ、ニッ」と数えるとき、普通の音楽だと「イチ」の方に重みを置きがちですが、サンバは「ニッ」の方にドーンと重い音が来ます。
これが、思わず体が前に進んでしまうような推進力を生み出しているんです。
16分音符のシンコペーション

シンコペーションというのは、簡単に言うと「リズムの裏拍を強調して、ノリをズラす」テクニックのこと。サンバでは、細かい16分音符が跳ねるように転がり、波のようなうねりを作り出します。
この「バウンス感」こそが、サンバのウキウキするような楽しさの正体なんですね。
サンバを彩る個性豊かな楽器たち
サンバといえば、やっぱり大勢で叩きまくる打楽器(パーカッション)のイメージが強いですよね。
ここでは、サンバのリズムを形作る代表的な楽器たちをご紹介します。どれも個性的で面白いんですよ!
スルド

サンバの心臓とも言えるのが、この「スルド」という大太鼓です。首から下げてバチで叩くのですが、先ほどお話しした「2拍目のアクセント」をドーン!と力強く叩き出すのがこの楽器の役割。テンポをキープする、バンドの屋台骨です。
パンデイロ

見た目はカラオケにあるタンバリンにそっくりですが、実は全くの別物。ジングル(金属の円盤)の響きが抑えられており、「パンデイロ」はこれ一つで低音から高音まで様々な音を出せる魔法のような楽器なんです。指先や手のひらを駆使して、細かい16分音符のリズムを刻みます。達人の演奏を見ると、本当に手品みたいですよ!
アゴゴ

大小2つ(またはそれ以上)の金属製のカウベルを繋げたような楽器で、棒で叩いて演奏します。「カンコン、カンコン」という高く澄んだ音で、リズムに明るいアクセントを加えてくれます。
タンボリン

「タンバリン」と名前が似ていますが、こちらは直径15センチほどの小さな片面太鼓。専用のムチのようなバチ(スティック)で叩き、めちゃくちゃ細かくて速いリズムを刻みます。小さいのにものすごく大きな音が出る、サンバの飛び道具です。
クイーカ

サンバを聴いていると、時々「ウホッ、ウホッ」という猿や豚の鳴き声のようなコミカルな音が聞こえてきませんか?あれはこの「クイーカ」という楽器の音。太鼓の皮の内側に棒がくっついていて、その棒を濡れた布でこすって音を出すという、ちょっと変わった仕組みの摩擦太鼓なんです。
これらの楽器が合わさって、あのワイワイガヤガヤとしたお祭りのグルーヴが生まれるわけですね!
サンバとボサノヴァの違いって?
さて、ジャズを聴いていると「サンバ」よりも「ボサノヴァ」という言葉の方をよく耳にするかもしれません。「サンバとボサノヴァって何が違うの・・・?」と疑問に思う方も多いはず。
実は、ボサノヴァはサンバから派生して生まれた音楽なんです。
1950年代の終わり頃、ブラジルの若きミュージシャンたち(ジョアン・ジルベルトやアントニオ・カルロス・ジョビンなど)が、「もっと洗練された、新しい感覚のサンバを作りたい!」と考えて生み出したのがボサノヴァでした。
違いをざっくり言うと、こんな感じです。
SAMBA サンバ
- 大人数の打楽器編成で演奏されることが多い
- アップテンポでエネルギッシュ
- パレードやダンスと結びついた「お祭りの音楽」
BOSSA NOVA ボサノヴァ
- サンバのリズムをアコースティック・ギターで繊細に表現
- ゆったりとしたテンポと、ささやくような歌声
- ジャズの影響を受けた洗練されたコード
- 部屋でくつろぎながら聴く「室内楽的な音楽」
つまり、ボサノヴァは「サンバのリズムをギター1本で表現し、ジャズのエッセンスを加えたもの」と言えます。
ジョアン・ジルベルトが編み出した、親指で「スルド」の低音を弾き、他の指で「タンボリン」などの細かいリズムを弾くギター奏法が、ボサノヴァの決定的な特徴となりました。
ジャズとサンバの出会い
ブラジルで生まれた新しい音楽「ボサノヴァ」は、やがてアメリカのジャズ・ミュージシャンたちの耳に届きます。そして、ジャズとブラジル音楽が歴史的な出会いを果たすことになります。
そのきっかけとなった超名盤をご紹介しましょう!
Jazz Samba / スタン・ゲッツ&チャーリー・バード (1962)
1962年にリリースされたこのアルバムは、「ジャズ・サンバ」というジャンルを確立し、アメリカのみならず世界中にボサノヴァ・ブームを巻き起こした記念碑的な作品です。
主役は、テナー・サックスの巨匠スタン・ゲッツと、クラシック・ギターの名手チャーリー・バード。
事の発端は、1961年にチャーリー・バードがブラジルをツアーで訪れたことでした。そこで最新のボサノヴァを聴いてすっかり魅了されたバードは、アメリカに帰国後、スタン・ゲッツに「ブラジルで凄い音楽を見つけたぞ!」と持ちかけます。
そして1962年2月、ワシントンD.C.にある教会(オール・ソウルズ・ユニタリアン教会)のホールにミュージシャンたちが集まり、たった数時間で録音されたのがこの『Jazz Samba』でした。
このアルバムに収録されたアントニオ・カルロス・ジョビン作曲の『Desafinado』は大ヒットを記録!インストゥルメンタル(歌なし)のジャズとしては異例の、ビルボードのポップ・チャートで1位を獲得するという偉業を成し遂げました。
スタン・ゲッツのクールで甘く、どこか哀愁を帯びたテナー・サックスの音色と、サンバの軽快なリズムが見事にマッチ。本場ブラジルのミュージシャンたちによる演奏とはまた違った、アメリカのジャズメンならではの解釈が、多くのリスナーの心を掴んだのです。
この大成功があったからこそ、後にスタン・ゲッツは本場のジョアン・ジルベルトらを招いて、あの伝説の名盤『Getz/Gilberto』を制作することになります。ジャズの歴史を変えた、まさに運命のアルバムと言えるでしょう。
おわりに
いかがでしたか?今回は「サンバのリズム」をテーマに、その特徴や楽器、そしてジャズとの関わりについて解説しました。
「2拍目へのアクセント」や「16分音符のシンコペーション」といったサンバのリズムの仕組みを知ると、ジャズを聴くのがもっともっと楽しくなりますよ!
「あ、この曲のドラム、スルドのドーンって音を意識してるな!」とか、「ピアノがパンデイロみたいな細かいリズムを弾いてるぞ!」なんて発見があるかもしれません。
ぜひ、今回ご紹介した『Jazz Samba』もぜひ聴いてみてくださいね!

