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エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングの『Cheek to Cheek』を聴く。【4コマ漫画付き記事】

JAZZ

ここはとある町の喫茶店。

レコードを聴きながら今日もマスターはつぶやく。

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【4コマ漫画】喫茶店マスターのつぶやき24

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エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングの『Cheek to Cheek』の解説

アメリカ音楽史に燦然と輝く名デュエットとして、エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングの共演盤『Ella and Louis』を挙げることに異論を挟む者は少ないでしょう。

本稿で紹介する『Cheek to Cheek』は、1956年に「ヴァーヴ・レコード」の創設者であるノーマン・グランツのプロデュースのもと録音された同アルバムに収録されている、至高のスタンダード・ナンバーです。

もともとこの楽曲は、アメリカを代表する作曲家アーヴィング・バーリンが1935年の映画『トップ・ハット』のために書き下ろしたものでした。劇中でフレッド・アステアがジンジャー・ロジャースと優雅に踊りながら歌い上げたことで大ヒットを記録し、アカデミー賞の最優秀歌曲賞にもノミネートされています。「Heaven, I’m in heaven・・・」というロマンティックな歌い出しは、今なお多くの人々の耳に馴染み深いことでしょう。

この歴史的名曲に新たな生命を吹き込んだのが、ジャズ界を牽引する二人の巨星でした。録音は1956年8月16日、ハリウッドのキャピトル・スタジオにて、アルバム全曲がわずか1日で収録されるという驚異的な集中力のなかで行われました。

バックを務めるのは、ピアノのオスカー・ピーターソン、ギターのハーブ・エリス、ベースのレイ・ブラウン、そしてドラムスのバディ・リッチからなる「オスカー・ピーターソン・カルテット」です。当時のジャズ・シーンにおいて最高峰と呼ぶにふさわしい名手たちが、主役の二人を極上のスウィング感で支えています。

※ 当時のオスカー・ピーターソンのレギュラー・バンドはドラムを含まないトリオ編成でしたが、本作の録音のために特別にバディ・リッチが加わり、一時的なカルテット編成で伴奏を務めました。

本テイクの最大の聴きどころは、なんといってもエラとルイの対照的なヴォーカル・スタイルの見事なコントラストにあります。エラの絹のようになめらかで洗練されたシルキー・ヴォイスと、ルイの砂金のようにざらついた、しかし深い温かみを感じさせるしゃがれ声は、一見すると水と油のように思えるかもしれません。しかし、両者がマイクを挟んで交わす音楽的な対話は、互いの魅力を引き立て合い、信じられないほどの深い調和を生み出しています。

楽曲は、オスカー・ピーターソンの軽快で上品なピアノ・イントロから幕を開けます。まずルイがリラックスしたテンポでメロディを歌い上げ、続いてエラがそのバトンを受け取ります。エラのヴォーカル・パートの裏でルイが奏でるオブリガート(助奏)は、決して出しゃばることなく、楽曲の持つ優美なメロディ・ラインを際立たせています。派手なフェイクやスキャットを抑え、歌詞に込められた情感をストレートに伝える二人の表現力には、ただただ感嘆するほかありません。

ロックンロールが台頭しつつあった1950年代半ばという時代背景の中、これほどまでに上質で普遍的なジャズ・ヴォーカルの真髄が記録されたことは、まさに奇跡と言えるでしょう。ジャズという枠組みを超え、すべての人々の心に安らぎと幸福感をもたらす『Cheek to Cheek』。目を閉じて耳を傾ければ、二人の巨星が微笑み合いながら歌う情景が、まざまざと浮かんでくるようです。

4コマ作者

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商業誌での受賞経験あり。
約1年間Web連載の漫画原作(ネーム担当)経験あり。
2019年よりフリーで活動中。
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