音楽用語として使われるクリシェとは?【用語かんたん解説】

座学あれこれ

「これが終わったら一杯おごるよ」

「ああ、約束だからな」

・・・。

どうも、ズワイガニです。

いきなりセリフから入ってしまってすみません。皆さんは、クリシェという言葉を知っていますか?

お決まりのセリフみたいなものをクリシェというのですが、まさにさっきのセリフみたいな感じです。さっきのはフラグっぽいけど。いや、フラグっぽいセリフはだいたいクリシェか。

他にも「ここは俺が食い止める。お前は先に行け!」とか「・・・残像だ。」とか「待たせたな。なんだそのザマは。」とか。うん、ちょっと厨二病っぽいのしか思い浮かばないんですけれども。

まあ要するに、こういうのがクリシェなんですけど、音楽の中でも用いることがあるんです。

今回は、音楽で使うときのクリシェについてかんたんに解説していきます。

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クリシェとは?

「クリシェ」という言葉自体はフランス語に由来しています。「決まり文句」や「型にはまった表現」を意味します。

音楽におけるクリシェも同様に、繰り返し使われる決まった音型やコード進行、リズムのことを指します。これらは作曲家や演奏家によって頻繁に使用された結果、使いやすいパターンとしてテンプレート化されていったって感じですかね。

クリシェは、音楽の中で共通の感情やムードを伝えるために使われることが多いです。例えば、悲しみを表現するためには、前提としてリスナーにその感情表現を理解してもらう必要があります。私たちも、曲を聴いた時に、「悲しい感じの曲だな」とかなんとなく分かりますよね?なんとなく分かるということは、悲しみを表現する決まり事があるはずなんです。

その決まり事を備えたフレーズやコード進行のお決まりのパターンがクリシェです。リスナーとの共通認識を利用して表現したいことを伝える感じでしょうか。

音楽における代表的なクリシェ

音楽におけるクリシェの参考例をみてみましょう。

1. ベースラインのクリシェ

ベースラインのクリシェは、特定の音階進行がベースで繰り返されるパターンです。

最も有名な例の一つは、半音階的に下降するベースラインです。例えば、ジャズのスタンダード曲『My Funny Valentine』では、ベースラインのクリシェが効果的に使われ、曲全体に哀愁を帯びた雰囲気を与えています。

2. コード進行のクリシェ

コード進行におけるクリシェは、リスナーが予想しやすく、安心感をもたらすために使われることが多いです。

典型的な例として、ポップスで頻繁に使われる「I–V–VI–IV」のコード進行が挙げられます。「トニック→ドミナント→トニック→サブドミナント」というベタな流れで、初心者向けの作曲の本に必ず書いてあるやつなんですけど、この進行は、多くのヒット曲でも使用されていて、聴く人に親しみやすい感覚を与えます。

3. メロディのクリシェ

メロディにおけるクリシェとは、音楽の中でよく使われるメロディのフレーズや特定の音の進行パターンを指します。

同じ音の反復や音階の上下動などのメロディ・パターンで、特定の感情や印象、雰囲気を表現しやすくなります。

4. ジャズにおけるクリシェ

ジャズの中でも、クリシェは重要な役割を果たしています。特に即興演奏では、特定のフレーズやリフレインが繰り返し使用されることがあります。

こうしたクリシェは、即興演奏の手持ちのフレーズとして使うことが多そうです。ただ、よく使うフレーズだけに”使ってしまう”ことも多そうですね。マイルス・デイヴィスは以下のように語っていますし。

マイルス・デイヴィス

「クリシェから逃れる唯一の方法は自己中心的でいることだ。」

おわりに

音楽におけるクリシェは、繰り返し使われる定型的な表現です。その便利さから多くの楽曲に登場しますが、多用するとリスナーに「またこのパターンか」と思われるリスクもあります。

音楽でも日常会話でも、クリシェは使いどころに気をつけないといけませんね!

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