どうも、ズワイガニです。
いつも読んでくださっている皆さまのおかげで、『4コマ版のしろうとJAZZ』もついに第30回を迎えることができました!本当にありがとうございます。
今回は記念すべき第30回ということで、ジャズの魅力がぎゅっと詰まった「ジャズ・スタンダード」の世界へ皆さんをご案内したいと思います。
ジャズ・スタンダードとは、古くから多くのミュージシャンに愛され、繰り返し演奏され続けている名曲たちのこと。ジャズを聴き始めると、「あ、このメロディ知ってる!」という瞬間がたくさんあるはずです。
最近では、ストリーミングサイトなどで『ベスト・オブ・ジャズスタンダード30』といったコンピレーション・アルバムも手軽に聴けるようになりました。初心者の方がジャズの扉を開くには、まさにうってつけのアイテムですね。
それでは、さっそく至極のジャズ・スタンダードの世界へ飛び込んでみましょう!
にわかジャズファン。この記事のライターで助手。元気が取り柄。
しったかJAZZ博士
しったかジャズファン。このブログの解説役である博士。知ったかぶりが取り柄。
【4コマ漫画】まだ見ぬ名曲!

ジャズ・スタンダードの世界へようこそ
いやー、4コマ漫画の通りなんですが、私としたことが『ベスト・オブ・ジャズスタンダード30』の中に知らない曲があったんですよ・・・!『スピーク・ロウ』って一体なんですか!?
そんなに落ち込むことはないぞい。ジャズの歴史は100年以上もあるんじゃ。星の数ほどあるスタンダード・ナンバーをすべて網羅しておる者など、そうそうおらんからな。
博士・・・!珍しく優しい!
珍しいとはなんじゃ!今日はそんなお主のために、このコンピレーション・アルバムに収録されている名曲たちと、お主の知らなかった『スピーク・ロウ』について解説していくとしようかのう。
やったー!よろしくお願いします!メモの準備はバッチリですよ!
モーニン (Moanin’) / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ
まずは『モーニン』ですね!これは私でも知ってますよ!テレビのBGMやCMでもよく流れていますし、アニメ化もされた漫画『坂道のアポロン』でも超重要な曲として登場してましたよね!
そうじゃな。このコンピレーションに収録されているアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの演奏は、「ハード・バップ」と呼ばれるジャズのスタイルの代名詞とも言える大名演じゃ。曲自体は、バンドのピアニストであったボビー・ティモンズが作曲したんじゃよ。
あの「パーパ、パパパー」っていうピアノとホーン・セクションの掛け合いが最高ですよね!一度聴いたら耳から離れません!
うむ。あの掛け合いは「コール&レスポンス」と言ってな。ボビー・ティモンズは牧師の息子じゃったから、黒人教会で歌われるゴスペルの影響が色濃く出ているんじゃ。苦しみに立ち向かって声を上げるという、前向きで力強いエネルギーに満ちておる。
なるほど!だからあんなにソウルフルで心に響くんですね!
1961年にアート・ブレイキー率いる「ジャズ・メッセンジャーズ」が来日した時は、日本中で空前のジャズ・ブームが巻き起こってな。お蕎麦屋さんの出前持ちが、自転車を漕ぎながら『モーニン』を口笛で吹いておった・・・なんて伝説的な逸話も残っておるくらいじゃ。
ええっ!?お蕎麦屋さんの出前持ちまでですか!まさに社会現象ですね!トランペットのリー・モーガンや、テナー・サックスのベニー・ゴルソンたちのソロもめちゃくちゃカッコいいですし、日本中が熱狂したのも納得です!
ミスティ (Misty) / エロール・ガーナー
お次は『ミスティ』ですね!これはもう、ロマンチックでうっとりしちゃう超名曲です!夜景を見ながら聴きたい曲ナンバーワンですよ!
『ミスティ』は1954年にピアニストのエロール・ガーナーが作曲した名曲じゃ。このコンピレーションでも、彼自身のピアノ・トリオによる素晴らしい初演ヴァージョンが堪能できるぞ。
エロール・ガーナーって、どんなピアニストなんですか?
彼はなんと、楽譜が読めなかったと言われておるんじゃ。じゃが、その分、独創的なリズム感とメロディックな表現力を持っておった。「ビハインド・ザ・ビート」と呼ばれる、少しリズムを遅らせてタメを作って弾く独特のスタイルが特徴じゃな。
楽譜が読めないのに、あんなに美しくて複雑なメロディを生み出せるなんて・・・!まさに天才のひらめきですね!
うむ。霧に包まれたような幻想的なメロディは、ジャズ・スタンダードの中でも最も美しい曲の一つと称賛されておる。その後、歌詞がつけられて多くのヴォーカリストにも歌われたんじゃ。サラ・ヴォーンやエラ・フィッツジェラルドのヴァージョンも絶品じゃぞ。
インストゥルメンタル(楽器演奏)でもヴォーカルでも楽しめるなんて、スタンダード・ナンバーの醍醐味ですね!
バードランドの子守歌 (Lullaby of Birdland) / ジョージ・シアリング・クインテット
タイトルからしてオシャレすぎます!お次は『バードランドの子守歌』ですね!
うむ。1952年に盲目のピアニスト、ジョージ・シアリングが作曲した名曲じゃ。このコンピレーションには、まさにその作曲者本人であるジョージ・シアリングのグループによるインストゥルメンタル演奏が収録されておるぞ。
へえー!作曲した本人の名演が聴けるんですね!
ニューヨークにあった伝説的なジャズ・クラブ「バードランド」のラジオ番組のテーマ曲として、オーナーから依頼されて作ったんじゃが・・・なんと、たった10分で作曲されたという逸話があるんじゃよ。
ええっ!?10分ですか!?カップラーメン3個分しか待ってないのに名曲が誕生しちゃったんですか!?天才って恐ろしいですね・・・!
ジョージ・シアリングのピアノは、ヴィブラフォンやギターと同じメロディをユニゾン(同時に重ねて演奏すること)で弾くのが特徴でな。「シアリング・サウンド」と呼ばれて大流行したんじゃ。
なるほど!サラ・ヴォーンのヴォーカル版も有名ですけど、このクールで洗練された「シアリング・サウンド」の響きも都会の夜にピッタリですね!
ラッシュ・ライフ (Lush Life) / ジュリー・ロンドン
次は『ラッシュ・ライフ』はどうでしょう?今まで紹介した曲に比べると、ちょっと「超メジャーどころ」からは外した、通好みな選曲じゃないですか?
うむ、良い着眼点じゃ。この曲はビリー・ストレイホーンという天才作曲家が、なんと10代の時に書き上げたと言われる、ジャズの歴史の中でも非常に重要な、知る人ぞ知る名曲なんじゃよ。
10代で!?天才のエピソードばっかりで感覚が麻痺してきそうです!
このコンピレーションに収録されておるジュリー・ロンドンのヴォーカル・ヴァージョンは絶品じゃ。彼女の代名詞でもある、ため息をつくようなハスキー・ヴォイスがたまらんのじゃ。
タイトルからして、なんだか大人な雰囲気がプンプンしますね・・・。
その通り。孤独や酒浸りの日々(ラッシュ・ライフ)を歌った、とても退廃的で美しい曲じゃ。ヴォーカルに寄り添うように美しく奏でられる楽器のオブリガート(助奏)にも耳を傾けてみると、よりこの曲の深い世界観に浸れるぞい。
オブリガートですね!メインのメロディだけじゃなくて、後ろで鳴っている音色にも注目して聴いてみます!なんだか、大人の階段をまた一歩上っちゃいました!
スピーク・ロウ (Speak Low) / ジェリー・マリガン
そして・・・ついに来ました。私が知らなかった『スピーク・ロウ』ですね。一体どんな曲なんですか?ドキドキ・・・。
『スピーク・ロウ』は、もともと1943年のブロードウェイ・ミュージカル『ヴィーナスの接吻(One Touch of Venus)』のために、クルト・ヴァイルが作曲した曲なんじゃ。作詞はオグデン・ナッシュじゃな。
へえ〜!ジャズ・ミュージシャンが作った曲じゃなくて、ミュージカルの曲だったんですね!
そうじゃ。ジャズ・スタンダードには、ミュージカルや映画音楽から取り入れられた曲がとても多いんじゃよ。歌詞の内容は「時間が過ぎ去る前に、小さな声で愛を語ってほしい・・・」という、愛の儚さを歌ったとてもロマンチックで切ないものじゃ。
うわぁ、大人な世界ですね・・・!
その美しいメロディが多くのジャズ・ミュージシャンに愛されてな。このコンピレーションでその名演を披露しているのが、バリトン・サックスの巨匠、ジェリー・マリガンじゃ。
バリトン・サックス!大きくて、低くて渋い音がする楽器ですよね!
うむ。ジェリー・マリガンは「クール・ジャズ」と呼ばれるスタイルの立役者の一人でな。彼の吹くバリトン・サックスは、低音でありながらとても軽やかで、柔らかくメロディアスなのが特徴なんじゃよ。
『スピーク・ロウ』のロマンチックなメロディに、ジェリー・マリガンの渋くて優しいサックスの音がピッタリ合いそうです!さっそく聴いてみます!
おわりに
全曲紹介したかったんじゃが、あまりにも長くなるのでこの辺にしておこうかのう。
いやー、ジャズ・スタンダードって本当に奥が深いですね!同じ曲でも、ヴォーカル・ヴァージョンとインストゥルメンタル・ヴァージョンがあったり、アーティストによって全く違うアレンジになっていたりして、聴き比べる楽しみが無限にあります!
その通りじゃ。ジャズは演奏者の個性や、その日の気分、共演者とのインタープレイ(相互作用)によって、曲の表情がガラリと変わるのが最大の醍醐味じゃからな。
『ベスト・オブ・ジャズスタンダード30』みたいなコンピレーション・アルバムは、色々な曲の「カタログ」として使えますね!気に入った曲があったら、その曲の色々なアーティストのヴァージョンを探してみるのも面白そうです!
うむ、良い着眼点じゃ。お主もこれを入り口にして、どんどん自分だけのお気に入りの名演を発掘していくとよいぞい。ジャズの海は広くて深いからな。
はいっ!まずは今日教えてもらったお蕎麦屋さんの出前持ちの真似をして、口笛で『モーニン』を吹きながら街を練り歩いてみます!パーパ、パパパー♪
・・・それは近所迷惑にならん程度にしておくことじゃな。それに、お主はカニのお面を被っておるから、ただの不審者になりかねんぞ。
ハッ!確かに・・・!カニが口笛吹きながら歩いてたら通報されちゃいますね!気をつけます!
(カニのお面を被っている時点で口笛を吹いていなくても不審者じゃが、それは言わないでおこう・・・。)
4コマ作者
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商業誌での受賞経験あり。
約1年間Web連載の漫画原作(ネーム担当)経験あり。
2019年よりフリーで活動中。
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