どうも、ズワイガニです。
ジャズのライヴや音源を聴いていると、ある楽器のメロディに対して別の楽器が応えるように演奏したり、アーティストの呼びかけに観客が歓声や手拍子で応えたりする場面に出くわすことがあります。
これらは「コール&レスポンス(Call and Response)」と呼ばれる音楽の手法です。
もともとはアフリカの伝統音楽や労働歌、そしてゴスペルなどの宗教音楽にルーツを持つこのスタイルは、ジャズという音楽の発展において非常に重要な役割を果たしてきました。
現代のポップスやロックのライヴでもお馴染みの光景ですが、ジャズにおけるコール&レスポンスは、単なる観客との掛け合いにとどまらず、演者同士の音の会話という深い意味を持っています。
今回は、そんなコール&レスポンスの歴史的な背景や魅力、そしてそれが存分に味わえるジャズの名盤について、分かりやすく解説していきます!
にわかジャズファン。この記事のライターで助手。元気が取り柄。
しったかJAZZ博士
しったかジャズファン。このブログの解説役である博士。知ったかぶりが取り柄。
【4コマ漫画】コール&レスポンス

コール&レスポンスの起源
ライヴでよくある「イェーイ!」って観客と掛け合いするやつ、あれって「コール&レスポンス」って言うんですよね!ジャズでも「コール&レスポンス」ってあるんですか!?
もちろんあるぞ。というか、もともと「コール&レスポンス」は非常に歴史のある音楽用語なんじゃよ。
そうなんですか!?てっきりライヴを盛り上げるために最近作られた現代のテクニックかと思ってました!
それが違うんじゃな。コール&レスポンスの起源は、はるか昔のアフリカ音楽にまで遡るんじゃ。集団で農作業などの労働をするときの「ワーク・ソング(労働歌)」や、キリスト教の教会で牧師の呼びかけに信徒が応える「ゴスペル」などの宗教音楽がルーツと言われておる。
「牧師さんが歌って、みんなで返す」みたいな感じですね!それがジャズにどう繋がっていくんですか?
ジャズのルーツであるブルースも、この労働歌や霊歌から発展した音楽じゃからな。過酷な労働や生活の悲しみ、苦しみを分かち合うための「呼びかけ」と「応答」というコミュニケーションの形が、そのままアメリカ南部の黒人音楽に根付き、やがてジャズの演奏スタイルに受け継がれていったんじゃよ。
ただの盛り上げテクニックじゃなくて、人々の生活や歴史に根付いた魂のコミュニケーションだったんですね・・・!
ジャズにおけるコール&レスポンスとは?
でも博士、僕が4コマ漫画でも言ったように、『モーニン』みたいなジャズの曲って、観客じゃなくて演者同士で掛け合いをしてますよね?あれもコール&レスポンスって言うんですか?
その通りじゃ!ジャズにおけるコール&レスポンスは、観客との掛け合いだけを指すわけではないんじゃ。むしろ、楽器同士の会話こそがジャズの醍醐味と言っても過言ではないぞ。
楽器同士の会話ですか!なんだかオシャレですね!
例えば、ホーン・セクション(トランペットやアルト・サックスなど)がメロディを吹き、それに呼応するようにリズム・セクション(ピアノやベースなど)が合いの手を入れる。あるいは、ソリストの即興演奏に対して、バックのバンドが反応して音をぶつける。これらすべてがコール&レスポンスなんじゃ。
なるほど!ステージの上で、言葉の代わりに楽器を使って「今日の調子どう?」「最高だぜ!」って会話してるみたいなものなんですね!
ジャズという音楽は、楽譜通りに演奏するだけではなく、その場その場で音楽を作り上げていく生き物のようなものじゃ。だからこそ、相手の音を聴いて即座に反応するコール&レスポンスの能力が、ジャズ・ミュージシャンには不可欠なんじゃよ。
だから毎回違う演奏になるんですね!他にもそういう掛け合いのパターンってあるんですか?
うむ。「4バース・チェンジ」と言って、ドラムと他の管楽器などが4小節ずつ交互にソロを演奏し合う手法もあるが、これも立派なコール&レスポンスの一種じゃな。お互いのフレーズを真似したり、あえて裏切ったりと、スリリングなやり取りが楽しめるぞ。
お互いの音をしっかり聴いていないと成り立たないんですね。まさにプロの技です!
コール&レスポンスを体感できる名盤3選
そんな熱い掛け合いが聴けるアルバム、ぜひ教えてください!
初心者でも分かりやすい、コール&レスポンスの名盤を3つ紹介しよう。どれもジャズの歴史に名を刻む大名盤じゃぞ。
Moanin’ / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ (1958)
まずはさっきおぬしが言っておった『モーニン』じゃ。これは「ハード・バップ」というスタイルの代表的な名盤じゃな。
この曲、冒頭からめちゃくちゃカッコいいですよね!テレビのBGMとかでもよく聴きます!
タイトル曲の『モーニン』は、ピアニストのボビー・ティモンズが書いた曲じゃ。冒頭のテーマ部分で、ピアノが「タッ、タ、タ、ター」とコール(呼びかけ)をすると、トランペットのリー・モーガンとテナー・サックスのベニー・ゴルソンが「パァーン!」と重厚なレスポンス(応答)を返すじゃろ?
あー!まさにアレですね!めちゃくちゃ分かりやすい掛け合いです!
ゴスペルやブルースのフィーリングを強く打ち出した、これぞジャズにおけるコール&レスポンスの王道と言える名演じゃ。リーダーであるアート・ブレイキーの、背中を押すような力強いドラミングも相まって、演者同士の熱いエネルギーがぶつかり合っておるんじゃよ。
Kind of Blue / マイルス・デイヴィス (1959)
次は、ジャズ界の帝王マイルス・デイヴィスの歴史的名盤じゃ。このアルバムの1曲目『So What』も、見事なコール&レスポンスが聴けるぞ。
どんな掛け合いなんですか?
この曲では、ベースのポール・チェンバースが弾く印象的なメロディ(コール)に対して、ピアノのビル・エヴァンスとホーン・セクションが「ソー・ホワット(だから何?)」と言わんばかりの短い和音(レスポンス)を返すんじゃ。
ベースが呼びかけて、みんなで「だから何?」って返すんですか!?なんだかクールですね!
そうじゃな。熱く盛り上がる『モーニン』とは違い、こちらは非常に洗練されていてクールな雰囲気じゃ。そのテーマが終わった後、マイルス・デイヴィスのトランペット、ジョン・コルトレーンのテナー・サックス、キャノンボール・アダレイのアルト・サックスと、伝説的なプレイヤーたちが次々とソロを取っていく展開は鳥肌モノじゃぞ。同じコール&レスポンスでも、アプローチによって全く違う表情を見せるのが面白いところじゃな。
Mercy, Mercy, Mercy! Live at “The Club” / キャノンボール・アダレイ・クインテット (1967)
最後は、先ほども名前が出たアルト・サックス奏者、キャノンボール・アダレイによる大ヒット作じゃ。これは観客との掛け合いの熱気が存分に味わえるアルバムじゃぞ!
おおっ!待ってました!ライヴ盤ですね!
タイトル曲の『Mercy, Mercy, Mercy』は、キーボードのジョー・ザヴィヌルが作曲した「ソウル・ジャズ」の名曲じゃ。演奏前にキャノンボールが観客に向かって語りかけ、演奏中も観客の歓声や手拍子がバッチリ収録されておる。ジョー・ザヴィヌルが弾くエレクトリック・ピアノ(ウーリッツァー)の独特な響きが、まるで教会のゴスペルのような神聖さと泥臭さを生み出しておるんじゃ。まさに会場が一体となったコール&レスポンスじゃな。
最高ですね!僕もそのライヴ会場に行ってみたかったです!お酒を飲みながらイェーイ!ってやりたいです!
・・・ところがじゃな、実はこのアルバム、ライヴ会場で録音されたように見せかけて、実際はレコード会社のスタジオに観客を呼んで録音されたものなんじゃよ。
えええっ!?そうなんですか!?騙された気分です!
まあまあ、そう怒るでない。当時のクラブのオーナーとの関係でそういうクレジットになったという歴史的なエピソードがあるんじゃ。とはいえ、スタジオに招待された観客にはお酒も振る舞われ、そこにいる観客の熱狂とバンドの掛け合いは紛れもなく本物じゃから、ぜひ聴いてみてほしいのう。
じゃあ聴くー!
おわりに
いやー、コール&レスポンスって、ただのライヴの盛り上げテクニックじゃなくて、ジャズの根幹に関わる重要な要素だったんですね!
その通りじゃ。演者同士の音の会話、そして観客とのエネルギーの交換。それらすべてを含めて「コール&レスポンス」なんじゃよ。ジャズを聴くときは、誰が誰に呼びかけて、誰がどう応えているのかを意識すると、より深く楽しめるはずじゃ。
僕も次にジャズのライヴに行ったら、演者同士のアイコンタクトや楽器の掛け合いに注目してみます!もちろん、客席からのレスポンスも全力でやりますよ!イェーイ!!
その意気じゃ。ただし、静かなバラードの途中で大声を出したりして、周りの迷惑にならないようにな。空気を読むのも、優れたレスポンスの条件じゃぞ。
気をつけます!皆さんもぜひ、お気に入りのコール&レスポンスを探してみてくださいね!
さらばじゃ!
4コマ作者
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商業誌での受賞経験あり。
約1年間Web連載の漫画原作(ネーム担当)経験あり。
2019年よりフリーで活動中。
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