5拍子の名曲『テイク・ファイヴ』収録！デイヴ・ブルーベックの『タイム・アウト』

どうも、ズワイガニです。

5拍子の名曲『テイク・ファイヴ』を収録した、デイヴ・ブルーベック・カルテットの名盤『Time Out(タイム・アウト)』を紹介します！

「ジャズ＝スウィング4拍子」の常識をぶち壊した、まさに革命的な一枚です。

デイヴ・ブルーベックとは

デイヴ・ブルーベック（1920年12月6日 – 2012年12月5日）は、ウエストコースト・ジャズを代表するピアニストです。カリフォルニア出身で、もともとはクラシック畑の人でした。

幼少期からピアノを習い、大学ではフランスの作曲家ダリウス・ミヨーに師事します。

※ユダヤ人であったダリウス・ミヨーは、第二次世界大戦を避けるためにアメリカへ亡命していました。

このミヨーがまたすごくて、クラシックとジャズの融合を推し進めていた人物なんです。ブルーベックもその影響を受け、ジャズをもっと知的に、構築的に探求していくようになります。

在学中にプロとして活動を始めますが、第二次世界大戦で徴兵され、一度は音楽を中断。戦後、ミヨーの「君はジャズをやるべきだ」という言葉に背中を押されて音楽の道に戻ります。

この恩師のひとことが、後の名盤『タイム・アウト』を生むきっかけになったと言っても過言ではありません。

1950年代後半になると、彼のカルテットは世界中をツアーし、知的で都会的なサウンドが人気を博します。

そして1959年、『テイク・ファイヴ』の大ヒットでブルーベックの名前は一躍世界に広がりました。

1959年リリースの『Time Out』は、変拍子に大胆に挑戦したアルバムです。

当時のジャズはほとんどが4拍子や3拍子。そこに5拍子や9拍子なんて、まさに異端児です。

レコーディング・メンバーは以下になります。

アルト・サックスのポール・デスモンドは、ブルーベックの長年の相棒でした。『テイク・ファイヴ』を書いたのも彼なんです。

とはいえ、構成やリズムのアイデアにはブルーベックの影響も濃く、二人のコラボの結晶といえる一曲です。

アルバム全体がリズムの実験場のような構成で、聴けば聴くほど面白い。それぞれの曲で拍子やグルーヴが違うので、普通のジャズ・アルバムとは全く違う聴き応えがあります。

トルコの民族音楽からインスパイアされた9拍子の楽曲です。

街角で聴いたリズムに衝撃を受けて作ったそうで、「2+2+2+3」という変則的なリズム構成がクセになります。

※ ロンド：輪舞曲。異なる旋律を挟みながら、同じ旋律（ロンド主題）を何度も繰り返す形式。

ジャズ史上初の5拍子ヒット曲。5拍子は「1・2・3／4・5」と3対2に分けて数えるとリズムがつかみやすいです。

この曲は、ユーラシア・ツアーでトルコにいるときに、ストリートで演奏されていたトルコの民族音楽に着想を得たそうです。

モレロのドラム・ソロも必聴で、クールなのにスリリング。都会的でイカしている一曲です。

3拍子と4拍子が交互に入れ替わる、聴いてて不思議な感覚の曲です。

ワルツのように軽やかで、でもどこか引っかかる。この違和感が心地いいんです。

※ ワルツ：3拍子の舞踊曲。円舞曲。

当時、レコード会社は「こんな変拍子の曲、売れるわけない」と反対したそうですが、結果は大ヒットになりました。

ジャズ界に新しい風を吹かせ、知的で洗練されたモダン・ジャズのイメージを決定づけました。

ブルーベックのピアノは、力強さと構築美が同居していて、まるで建築家が音で設計図を描いているようです。一方で、デスモンドのアルト・サックスは絹のように滑らか。二人の対話が本当に心地いいんです。

『Time Out』は、ジャズを「難しいもの」から「面白いもの」へと変えたアルバムだと思います（変拍子で難しさは増していますが笑）。

聴くたびに新しい発見があるし、リズムの奥深さを感じられます。何度聴いても時間を忘れる（Time Out）名盤です。なんつって。